興収とクチコミと嫌悪感について


「トラペジウム」 

2024年 日本 94分

@T-JOY京都 平日10:55 〜 観客3人


素晴らしかった。


「どんな音楽聴いてるんですか?」

「はい、ジャズ、クラシックからAKBまで」

「映画は?」

「ええ、マッドマックスからアイドルアニメまで」


聞かれたらこう答えると用意してる常套句がいらなかった。ただのアイドルアニメではなかったから。


興行収入が芳しくないのにクチコミがやたら熱くて使ってる言葉が独創的な映画にハズレなし。

というか、そんな作品が自分にブッ刺さる経験を何度も経験してきたけど、この作品もまさにそれで、そんな作品はいつだって新鮮な驚きをもたらしてくれるものだ。反対に、大ヒットしてるけど感想がありきたりな言葉だらけの映画が刺さらないことも経験してきた。


嫌悪感を抱いた人を愛せるか?それが試される作品だった。それができるようになることが、もしかしたら映画をたくさん見る理由かも知れない。


エゴで牽引する主人公、東ゆう。自分の夢だけをこっそり叶えようとする点と、思いどおりにならなかった時の反応に嫌悪感を抱く。アリ1匹が入っただけの味噌汁を全部捨てるという行為にも。

これらは全部仕込みで、主人公を嫌いになるよう設計されていた。

そんな主人公から離れていく3人とお前は同類か?最終的に3人の決断はどう捉える?主人公のあのインタビューに何を感じとる?掘りどころ満載だから数は多くなくてもリピーターを生んでるのだろう。


オープニングから最後の最後まで文句なし。

令和のお蝶夫人役の声優、上田麗奈が好きだ。

♪東西南北を青春切符で旋回中〜のフレーズも気に入った。

あっち行きこっち行き、若い特権指定席切符を握りしめ、回れ、踊れ、冒険しろ。

なお青春って年齢は関係ないしある一時期を指すものでもないってことをあらためて書いておこう。死ぬまでこんな作品が好きだ。


原作の高山一実って誰?と思ったら、元乃木坂46の人だった。