後悔はない。
「一月の声に歓びを刻め」
2023年 日本 118分
@UPLINK京都 祝日9:40〜 観客11人
予告編や他人のレビューを読んで期待したわけじゃなく自分で決めて見たのだから一片の後悔もない。
「町田くんの世界」2019年
「そばかす」2022年
「あつい胸さわぎ」2023年
近年、前田敦子の演技力には目を見張るものがあり、今日の日を楽しみにしていた。AKB48時代は気にもかけてなかったのに。元祖神7では篠田麻里子、小嶋陽菜、板野友美、渡辺麻友が好きだった。時は流れて2023年夏、僕は1億年ぶりにAKB沼にハマり今に至る。話を前田敦子に戻そう。
・こうでなければダメというルールを持たないことを唯一のルールとしてる
・釣りが趣味。マグロの一本釣りをするため小型船舶免許2級を取得
・1センチ四方の紙で折紙折れる
・母親と大の仲良し
・デビュー前から将来は演技がしたいと公言してた
・「女優になってくれてよかった。全然興味がないといわれたら日本の映画界の大損失だった」と言う映画監督もいる
・「私のことが嫌いな方もいると思います。ひとつだけお願いがあります。私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」
映画とあまり関係ないけど、知らなかった前田敦子エピソードと有名な発言を書いておきたくなっただけ。
個人的見解だけど、前田敦子は変な顔だし変な声だ。なのにスクリーン映えする顔。ずっと見ていられる顔。女優だなあと思う顔。なのに聞き取りやすい声。演技はごく自然。「ヒトリボッチ国際映画祭」で2年連続助演賞受賞した演技は主役のひとりを担った本作でも遺憾なく発揮されており、大好きな演技だった。お笑い芸人がエキセントリックにデフォルメして真似をする「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください!」的な演技はない。おいおいと泣いちゃうとこが白眉。抱きしめてあげたくなった。
ただ、語りが長い部分といくつか脚本が好みじゃない点があって、上述した3作の演技より、よくない意味で「演技」だった。モノクロはよく似合っていた。
この作品は3章構成のオムニバス。
1章の主役はカルーセル麻紀、2章は哀川翔、3章が前田敦子という構成で、共通項は変な声だ。この二月に聞いた声に歓びを刻みたいところだが、3章仕立てが今ひとつ効果を生んでないように感じられ。オムニバスなんてそれでいいのだろうけど、3章+最終章で最大効果をもたらせようとした作りなので、前田敦子とカルーセル麻紀の個性や特徴的な絵の作り方以外が今ひとつグッと来なくて残念。でも後悔はない。理由は上述したとおり。
ちなみに第3章のエピソードは脚本も書いた三島有紀子監督の実体験がモチーフで、自主映画にしようと47年間抱えていたそう。これはかなり胸が痛む。
最後に、日本の秘密兵器・宇野祥平の演技は普通のどこにでもいる地味な微クソ親父を演じてもやはり素晴らしかったことを記して終わります。最近の宇野祥平の仕事は、僕が見た作品だけでも以下のとおりのSHO-TIMEぶり。
「君は永遠にそいつらより若い」2021年
「さかなのこ」2022年
「わたしのお母さん」2022年
「放課後アングラーライフ」2023年
「こいびとのみつけかた」2023年
「市子」2023年
あ!哀川翔が持つと途端にVシネマ感が出る鉄パイプに小道具賞を。
ポストカード
凝ったつくりのパンフレット