『役者になったスパイ』

Moskau Einfach!(英題と同じ意味)

One-way to Moscow

2020年|スイス|109分

@UPLINK京都|平日11:40〜|観客12人



冷戦下のスイスというスリリングな舞台なのにコメディとして成立させる上手さ。そのギャップが持ち味だけど、ちゃんとスリルもある二重構造はよくできてるし、おまけにスパイ映画であり、演劇映画であり、何者かになろうとする男の物語でもある。軽やかだけど、軽くはない。


主人公が何かをやる時に流れる、ジェームズ・ボンドのテーマを薄っすらアレンジした劇伴にニヤニヤさせられるし、その主人公は不器用だけど機転が利き、飄々とした感じで仕事をこなす姿が面白い。

なにより、ヒロインが美人という映画の正義もある。この女優さん、静止画より動いてるほうが圧倒的にきれい。


劇中劇の大ピンチに主人公が下着姿になる。

「この演劇も男性の下着姿があるのね」

観客からこんな声が聞こえてくる。

緊張と滑稽さが、同じ画面に同居する。

この映画の魅力が、いちばん素直に表れた場面だ。


前半の静けさに一瞬油断したけど、後半はしっかり目が離せなくなる。