圧巻。この言葉以外、見つからない。
世界を見渡しても、最年少13才でここまで魂を燃やし切るパフォーマンス集団があるだろうか。
「AKB48 武道館4days/6公演」、すべて配信で追いかけ、ただただ震えた。
のべ198曲。総勢242名の新旧メンバー。
数もだが、数だけじゃない。
その一曲一曲に、ひとりひとりに、積み重ねてきた時間と夢と“好き”が溢れていて、画面越しでも情熱が伝わる。
まるで巨大な生命体が呼吸し、蹂躙していくみたいな、圧倒的スケールのエンターテインメントだった。
気づけばのべ10公演を視聴、時間にして24時間27分。24時間27分。24時間27分。あっという間だ。
かわいさも、楽しさも、カッコよさも、すべてが全力で、笑って、泣いて、心を引っ張り上げられて、最後は放心。
観終わって何日経っても身体のどこかがまだ熱を帯びていて(実際に熱が出た)、気づけばまた、気に入った場面を繰り返し再生してしまう。視聴期限が過ぎるまで。
この20周年記念公演の総合プロデュースは、初代総監督・高橋みなみ。
そして、その想いを受け取って立つ4代目・倉野尾成美。
最後の三曲を高橋が倉野尾に託したこと、その事実だけでも胸が鳴る。
倉野尾は「武道館が終わるまで涙は見せない」と宣言し、その通り最後まで笑顔だった。
ただ、総監督である限り「公演を楽しめない自分がいる」とも。
その言葉があるからこそ、何度も心を揺らした。
“楽しむより、背負うほうを選んだ人間”の強さが、ひとつひとつの仕草から滲み出ていた。
そして、公演をすべて終えたあと、高橋みなみは、倉野尾に「あなたが4代目で良かった」と伝え、最後にはみっともないほど泣いていた。
総監督どうしが交わすあの一瞬の友情の熱量。
あんな美しい場面、そうそう見られない。
“AKBらしさ”を築き上げてきた先輩たち。
その“らしさ”に縛られながらも、必死に前に進もうとしてきた現役メンバーたち。
でも、もうその呪いはいらない。
これを観たあとなら胸を張って言える。
いまの彼女たちこそが、AKBらしさの最新形だ。
「いい子ばかり」「遠慮しすぎ」と言われることがよくある現役メンバーたち。
それを変える必要はなく、個々が昨日の自分を超えていく姿を、21年目のステージで思い切り輝かせてほしい。

