天竺へとやってきた三蔵一行、しかし村は妖怪に襲われ、天竺国も襲われそうになっていた…

その妖怪を手引きしているのが牛魔王と聞いた三蔵は、牛魔王の神殿へと足を進める…

神殿の近辺までやってきた三蔵一行、しかし悟空の皇后に対する疑問により仲間割れが起きる…

そんななか妖怪達が三蔵一行に遅いかかる…

悟空は疑問を抱えながらも先に進む…

そしてついに三蔵一行は牛魔王の神殿の中へ入って行った…


八戒「オラァ!!どんどん来やがれ!!」

悟浄「張り切ってるな!!八戒!!」

八戒「あの国民の分も100倍にして返してやるよ!!」

悟浄「口癖だな。お前の。」

八戒「基本でしょ!!」

悟浄「しかし、流石牛魔王の神殿…」

八戒「あぁ手強い…」

三蔵「皆さん!!」

玉龍「駄目ですよ!お師匠様!!」

承恩「下がって!!三蔵!」

三蔵「…承恩。」

悟空「やっぱり天竺国の妖怪共とは違う…」

八戒「お前まだ…」

悟空「ここまできたらどうしようもない。先に進むだけだ!!」

悟浄「…悟空。」

八戒「手間掛けさせやかって。」

悟空「…行くぞ!!!」


更に奥に進む三蔵一行、そこに表れたのは大きな門、その前には大きな金と銀の銅像…


悟空「この奥か!!」

悟浄「みたいだな。」

八戒「…アレって…まさか。」


金と銀の銅像が動き出した…


銀閣「よく来たな!!三蔵一行!!俺様は銀閣!!そして隣に居るのが…」

金閣「…………あ、金閣!!」

八戒「やっぱり…」

銀閣「ここから先は…」

悟浄、八戒「うるさい!!!」


悟浄と八戒の攻撃により銅像と共に門が壊れる…

そこは広い空間で天井が高く中央には階段が、その最上部には椅子があり、そこには一人の男が座っていた…


男「…来たか。」

八戒「あんたが牛魔王か?」

男「だとしたらどうする?」

八戒「叩きつぶす!!」

悟空、悟浄、三蔵「八戒!!」


先人を切って走り出す八戒…


男「激しく燃え上がる業火…。」

八戒「…くそ。……なんでだ!?」


八戒の攻撃は男の所まで届かず途中で止まっていた…


男「その炎の強さは廻りまで取り込む勢いだな…」


男が手を出すと八戒は吹き飛ばされた…


八戒「うあぁぁぁぁ!!」

悟浄「八戒!」

玉龍「八戒さん!!」

悟空「まさか!?三蔵と同じ法力!?」

三蔵「そんな…」

承恩「何故!?」

男「妖怪の力では私には勝てんぞ。」

三蔵「あなたは一体…」

男「お前達の言う牛魔王が、この神殿を守りし者ならば……いかにも、私が牛魔王だ。」

承恩「…守る?」

八戒「…っく!」

悟浄「大丈夫か?八戒?」

八戒「まさかあいつも法力を使うなんて…」

悟浄「八戒…俺に考えがある。」


八戒に耳打ちをする悟浄、そして持っていたさす又を八戒に渡した…


牛魔王「どうした?二つの業火よ。我を倒すのではないのか?」

悟浄「玉龍!!剣を!!」

玉龍「え?あ、はい!!」


腰に差していた剣を悟浄に渡す玉龍…
剣を手にした悟浄は正眼の構えをした…


牛魔王「その構え…面白い。ブシドーというやつか。」

悟浄「俺はこっちの方が慣れ浸しんでいるんでね。」

牛魔王「なるほど貴様、カブキ国の出か…」

悟浄「…待たせたな。」

牛魔王「妖怪の技が効かぬなら人間のか…。機転の利く事だ。片腕の武士よ。」

悟浄「捲蓮大将沙悟浄!!!参る!!」

牛魔王「静かに燃える炎…しかしそれも怒りにより業火になる。」


牛魔王に斬りかかる悟浄、しかし全てをかわされてしまう…


悟浄「っく!…やはり一筋縄ではいかんか…」

牛魔王「…所詮は妖怪の浅知恵…我には届かん…」

悟浄「それはどうかな?…八戒!!」

八戒「もう一人居るのを忘れてねぇか!!!」


牛魔王の後ろから熊手とさす又を持った八戒が斬りかかる…


牛魔王「客人を忘れる訳があるまい…」

八戒「…くそ!!まだまだぁ!!悟浄!!」


不意に大勢を落とす八戒、それを飛び越えて悟浄が斬りかかる…


牛魔王「いいコンビネーションだ…」

悟浄「あんたに言われると…」

八戒「馬鹿にされてるみたいだ!!」

牛魔王「馬鹿になどしていないさ…しかし…まだまだ甘い。」

悟浄「下がれ!!八戒!!」

八戒「またか!!」

牛魔王「遅い!!」


牛魔王が手を広げると激しい爆風とともに吹き飛ぶ悟浄と八戒…


悟浄、八戒「うあぁぁぁ…!!!」

悟空「悟浄!!八戒!!」

三蔵「やはり…間違いない。あれは法力!」

牛魔王「互いに燃え上がる業火…それはまさに周りを巻き込み燃え尽きようとしているぞ。…わかるだろう。…なぁ?孫悟空よ。」

悟空「何!?」

牛魔王「一つの光を守りし三つの炎…しかし二つは業火に震え、光を消さんがせんと如く…」

悟空「何が言いたい!!」

牛魔王「…一つの炎は揺れ動きその炎はまるて灯火の如く。…何を迷っている?」

悟空「お前に…」

牛魔王「今は戦いの時…迷わず業火とならねば皆を死なすぞ。」

悟空「お前に言われたくなどない!!」


牛魔王に斬りかかる悟空…


牛魔王「迷い多き剣は切っ先無き剣と同意…そんなでは誰も守れんな…」

玉龍「悟空!!」

悟空「下がってろ!!玉龍!!」

牛魔王「…守りたい者が多いようだな…」

手の平を玉龍に向ける牛魔王…


悟空「止めろ!!」


牛魔王の後ろから承恩が飛び出した…


承恩「させない!!」


牛魔王の腕に承恩の剣があたる…


承恩「当たった。」

牛魔王「…っく!貴様ぁ!!」


承恩の腕を掴む牛魔王…


悟空、三蔵「承恩!!」

牛魔王「お前は!?……人間の娘か…」

承恩「よくも天竺国を!!」

牛魔王「…天竺国?……そうか…どうやらもう時間が無いようだな。」

承恩「何を…」

牛魔王「少し黙っていて貰おうか!!」


牛魔王は承恩を壁に吹き飛ばした…


承恩「キャァァ…!!!」

玉龍「承恩さん!!」

悟空「貴様ぁぁ!!」

牛魔王「ようやく業火になったか…」

八戒「まだまだぁ!!」

悟浄「迂闊なぁ!!」


三人か牛魔王に斬りかかっていった、三蔵は承恩の元へ駆け寄った…


三蔵「承恩!!」

玉龍「大丈夫。気を失っているだけです。」

三蔵「…玉龍さん。承恩を頼みます。」

玉龍「お師匠様!?」

三蔵「彼がしたいのは…」

牛魔王「もう貴様等と話している時間は…無い!!!」

悟空、悟浄、八戒「うわぁぁぁぁ…!!!!!」


またも吹き飛ぶ三人…


三蔵「私と話たいのでしょう!?牛魔王!!」

牛魔王「そうだ…ようやく…話が出来そうだな。玄奘三蔵。」

悟空、悟浄、八戒「駄目だ!!」

牛魔王「黙っていろ。」


壁に貼り付けられる悟空、悟浄、八戒…


悟空「っく…ぁぁ…結界か!?」

三蔵「…話がしたいのなら最初から…」

牛魔王「燃え盛る業火を沈めねばならんかったのでな。…三蔵。お主に一つ話さねばならない事がある。」

三蔵「何です?」

牛魔王「なぁ三蔵…人間と妖怪の境界線はなんだと思う?」

三蔵「何を…」

牛魔王「人より強靭な力があるから?…それとも自分達とは違う容姿だからか?」

三蔵「……」

牛魔王「そもそも妖怪とゆうのは人間が勝手につけた名…妖怪自体は自分を妖怪とは思わず人間社会にいるのではないのか?……いや、むしろ人間の方がよっぽど妖怪ではないのか?」

三蔵「何が言いたいのですか?」

牛魔王「分かっているはずだ…三蔵。人間は自分勝手で醜く愚かな生き物だ。…妖怪の方が…よっぽど人間らしい。」

三蔵「そんな事は…」

牛魔王「ならば何故お主は此処にいる!!」

三蔵「それはあなたが天竺国を…」

牛魔王「私は天竺国を襲ってなどおらん!!!」

三蔵、悟空、悟浄、八戒、玉龍「え!?」

牛魔王「……この結界は外からも中からも妖怪は出ることは出来ない。」

三蔵「そんな事は知っています!!」

牛魔王「ならば四聖獣の結界も知っておろう?」

三蔵「えぇ…」

牛魔王「禁呪とされるその結界が天竺国には貼られていたのだ。」

悟空「…だからか。」

悟浄「あの国での違和感…」

八戒「…けど俺達は…」

牛魔王「貴様等が通る時にはすでに西域の村が襲われて、朱雀の結界がとかれていたろう?」

三蔵「嘘です…」

牛魔王「青龍、白虎、朱雀、玄武をそれぞれ四方の村に封印しより強力な結界を作り出す。そしてその封印場所は代々受け継がれている守手しか知らん。」

三蔵「嘘です。……そんな事。」

牛魔王「事実だ。…もう、わかるであろう。三蔵。」

三蔵「……」

八戒「嘘だ!!…じゃぁあの国を襲った妖怪はどこに居たんだよ!!」

牛魔王「本当にわからんのか?」

悟空「……国民か…」

八戒「お前!!何を……あ…いや…違う!!…そんな…まさか!!」

悟浄「あの国民達の諦め……国を出られない理由…」

三蔵「操って…いるのですね。」

牛魔王「そうだ。……三蔵。お前は最初から分かっていて、ここへ来たのだろう。………息子を守りたいが為に。」

三蔵「……」

玉龍「…そんな……何を言っているのです!!」

八戒「…誰なんだ!?国民を操っているのは!!」

悟空「……西域の朱雀の封印場所を知っていて…」

悟浄「……天竺国を常に監視できる。」

三蔵「……天竺国皇后陛下…その人。」


沈黙が神殿を包んだ…

一方その頃天竺国、元老院…


皇后「長老様……天竺国皇后入ります。」

不敵な笑みを浮かべながら元老院に入って行く皇后…


天竺へとやってきた三蔵一行、西域の村は襲われその原因が牛魔王の手引きであることを知った三蔵…


その頃城門では妖怪達が現れそれを倒しに行った悟浄、八戒、承恩…


全てを終えた時、妖怪によってやられた門番を前に八戒の声がこだまする…


国の救出を頼まれた三蔵一行は紅該児の案内により牛魔王の神殿へ歩み出した…


八戒「くそ…くそ…クソォォ!!!」


八戒は近くにある木を殴っていた。


玉龍「…八戒さん。」

悟浄「ほおっておけ。」

承恩「…しかし。」

悟浄「…八戒!いつまでやっている!!」

八戒「うるさい!」

悟浄「……自分を責めるのもいいが。…それで死んだ者が浮かばれるとでも思うか?」

八戒「…それは。」

悟浄「ならば、俺達がやるべき事はわかるな…」

八戒「……あぁ!!もう!!ほら早く行くぞ!!!どっちだ!?紅該児!!」

紅該児「え?あぁ、こちらです。」

玉龍「悟浄さん。」

悟浄「馬鹿は楽でいい。」


再び牛魔王の神殿へと歩き出す三蔵一行、しかしその途中、三蔵がふと足を止める。

三蔵「…何故…我々の行く先々では争いがあるのでしょう…」

悟空「……三蔵?」

八戒「…偶然……じゃないよな…」

承恩「…あなたが最高僧…だから…」

三蔵「…私のせ…」

悟浄「お師匠様が気に病む事ではありませんよ。何故…どうして…、そんな事を言っても済んだ事はしかたがない。今はやるべき事をやるだけ…そうでしょう?」

悟空「…悟浄。」

三蔵「…そう…ですね。」

八戒「そうだぜ!!悪者を倒して世界に平和をもたらす!!それが三蔵一行!!」

悟浄「たまには、いい事言うな。八戒。」

八戒「やる事やって早く帰るぞ!!ほら、早く行くぞ!!!紅該児!!」

紅該児「は、はい!!」

悟浄「…早く帰りたいだけか。」

玉龍「八戒さんらしいですね。ね、お師匠様。」

三蔵「えぇ。…忘れていました。私にはやらなければいけない事がある。そして、それを支えてくれる仲間がいる。…例え何があろうと、私には後ろを振り返っている暇はないのです。前を向いてやるべき事をやらなければ。」

承恩「…いい仲間を持ちましたね。三蔵。」

三蔵「…人の出会いに偶然は無い、あるのは必然だけ。こうして皆さんと出会ったのもきっと運命なのでしょう。…承恩。もちろんあなたとの出会いも。」

承恩「…三蔵。」

八戒「それにしてもよ…遠くね?」

悟浄「近くに敵陣をかまえる奴がいるか?」

八戒「…あ~、そうか。まったく、こんだけ遠いなら飯食わしてくれたって罰はあたらないぜ!!」

悟浄「…確かに腹は減ったな。」

紅該児「すいません。何せ急を要する事ですから…」

三蔵「あ、気になさらないでください。こら!!八戒!悟浄!」

八戒「だいたいあの国の皇后の態度…。お高くとまりやがってよ!俺達をなんだと思ってんだ!」

承恩「…すみません。母に変わって私が…」

八戒「そう!承恩のお母さんが…………って…」

悟浄、八戒、玉龍「えぇぇぇ…!!」

八戒「皇后が承恩のお母さん!?」

悟浄「って事は承恩は天竺国の姫!?」

玉龍「ゆくゆくは皇后陛下!?」

三蔵「…そういえば言ってませんでしたね。」

悟浄「今までのご無礼!お許しください!!ほら!八戒!」

八戒「へへ~。」

承恩「頭を上げてください、皆さん。皇后陛下の娘と言うだけで、そのまま皇后になる訳ではないんですよ。」

玉龍「え?」

紅該児「元々、天竺国には王家一族は存在しないんです。」

悟浄「どうゆう事だ?」

紅該児「皇后陛下になるにはまず代々受け継がれる守手を全うし、東、西、南、北、誰が皇后に相応しいか国民による投票が行われ、それに選ばれた人が元老院による厳正な審査を受け、ようやく皇后陛下になるのです。」

悟浄「王位民主制か。天竺国らしい事だな。」

八戒「皇后になるのも大変なんだな。」

悟空「元老院?」

紅該児「城の中枢にあり10人の長老様たちが全ての決定をしている所ですよ。」

承恩「皇后とは名ばかりで殆どは元老院の決定を国民に伝えているだけなんですよ。ですから皇后は城から出る事すら許されません。…私も母に会いたいのですが。」

八戒「会えないのか?」

三蔵「皇后陛下に選ばれたら私情を挟まないように家族から引き離されるのですよ…」

玉龍「そんな…」

承恩「仕方ありません。それが運命なのですから。」

悟空「じゃぁ、今回のこの出兵も?」

紅該児「えぇ。元老院の決定によるものです。」

悟空「…そうか。元老院が…」

八戒「でもよ、コレが終わったら宴だなんだって皇后に会う機会だってあるだろ?」

紅該児「おそらく…。」

悟浄「それぐらいはしてもらわないとな。」

玉龍「ですね!」

三蔵「お母様に会えますね。承恩。」

承恩「皆さん…ありがとう。」

玉龍「承恩さん……あの…お父様は?」

承恩「父は……物心ついた頃にはもう…」
玉龍「……すみません。」

承恩「いいんです。私には母がいます。それだけで十分です。」

玉龍「…強いんですね。承恩さんは。」

紅該児「…皆様、気を引き締めてください。そろそろ着きますよ。」


森を抜け、山の崖に大きな洞窟がありその中に大きな宮殿が三蔵一行を待ち構えていた…


悟浄「あれが…」

三蔵「牛魔王の神殿。」

八戒「あそこにいるんだな…牛魔王って奴が…」

紅該児「そうです。…今まで何人が行って帰ってこなくなったか…」

八戒「俺達を今までの奴らと一緒にすんなよ。絶対に教典を貰って帰ってやるからな!!」


勢いよく走り出す八戒…


八戒「痛ぁぁ!!!!」

悟浄「どうした!?」

三蔵「これは…結界!?」

悟空「結界!?何故こんな所に!?」

八戒「…って。並みの妖怪なら消し飛んでるぜ…」

悟浄「最高僧クラスの結界か。」

承恩「……牛魔王が…」

悟浄「流石、牛魔王だな。」

八戒「相手に不足無し!」

悟浄「師匠。この結界解けますか?」

三蔵「…やってみます。」


三蔵が前に出て呪文を唱える…


三蔵「玄奘三蔵の名において…目前の結界よ…我前の道を空けよ!!」


何かが砕ける音がした…


三蔵「これで大丈夫。」

八戒「よっしゃ!!首を洗って待ってろ!牛魔王!」

悟空「待て!!!八戒!!」

八戒「何だよ?今更怖じ気づいちまったか?」

悟空「…変じゃないか?この結界といい。あの国の様子。妖怪共にしたってタイミングがよすぎる!!それにこの出兵…」

悟浄「どうしたんだ?悟空?」

悟空「悟浄、お前も気付いていただろう?あの国民の様子に。」

悟浄「それは…」

八戒「……もう、そんな奴置いといていこうぜ。」

悟空「行くな!!八戒!」


物凄い剣幕で悟空に詰め寄る八戒…


八戒「いい加減にしろよ!!お前!!ここまで来て帰ってどうするんだよ!!こうしている間にもあの国は襲われているかもしんねぇんだぞ!!」

悟空「…八戒。」

八戒「何なんだよ!!お前!!ずっと黙ってたくせに口を開いたらこれか!?……さっきの戦いの時もそうだった。なんで戦わない!?……逃げんな!!目の前の戦いから!!」

悟空「逃げてなんか…」

八戒「逃げてるよ!!…考えてばっかりで行動をおこさなかったら、それは何もしないのと同じだろうが!!」

悟浄「止めろ!!八戒!」

悟空「俺はただみんなを危険に晒したくないだけで…」

悟浄「何!?……うぬぼれるな!!悟空!!皆を危険に晒したくないだと……お前、俺達を信頼出来ないって言っているのか。」

悟空「違う悟浄!!!どうしても元老院に話を…」

八戒「話なんかしてどうするんだよ!!今、目の前に倒すべき敵がいるんだぞ!!!」

悟空「本当に敵なのか!?誰が本当の敵なんだ!?…もう、わからないんだ!!!何を信じて!!何をすればいい!?……もう、嫌なんだ!!……誰にも…死んで…」

悟浄「止めろ!!」

八戒「お前は!!!俺の知ってる孫悟空じゃねぇ。俺といつも喧嘩して…」

悟浄「止めろと言っているだろ!!…悟空。お前本気でそんな風に思っているのか!……俺達仲間を……長い旅を…共にしてきた仲間を…………お前は!!!信じれないのかぁ!!」

悟空「………」

八戒「…悟浄。」

悟浄「そんなに帰りたければ一人で行けばいい!!!お前はもう信用出来ない!!お前は!!俺達の仲間なんかじゃ…」


悟浄を三蔵が殴りつけた…


三蔵「悟浄!!……滅多な事を言うものじゃありません!!…冷静になりなさい。」

悟浄「……師匠。すみません、つい…」

三蔵「悟空……確かに天竺国の事も気になりますが、あの国が今、危ない事は事実。それに今分かっているのは牛魔王が原因と言う事だけ。」

悟浄「…悟空。」

悟空「………」

悟浄「…残念だが。今のお前はただの怯えた猿だ。…お前、俺達の身を案じて言っているのか?だとしたらそれは俺達に対する侮辱だ…」

悟空「そんな、俺は…」

悟浄「お前をそこまで頼るほど俺達は馬鹿じゃない!!!自分の道は自分で切り開ける!」

悟空「……」

悟浄「余計な迷いは…全員に被害を与える。そんな事もわからないのか?今のお前では敵を斬る事はできない!…そんな状態では誰も守れないぞ!!誰にも死んでほしくない、これから先もついて来たいと言うのなら……心を入れ替えろ!!今は全員を信じて戦う時だ!!」

悟空「……俺は…」

紅該児「皆様!!話はそれぐらいに!」


神殿の中から妖怪達の声がした。それは三蔵一行が来た森の方からも…


承恩「来ますよ!!!」

八戒「…おちおち話もしてらんねぇなぁ!!全員まとめてかかってこい!!こちとら気が立ってんだぁ!!」

紅該児「三蔵様!!早く神殿へ!!後ろは私が止めます!!」

三蔵「…お願いします。くれぐれも無理はなさらずに…」

紅該児「はい!!」

悟浄「立て!!悟空!!」

玉龍「ほら!!悟空!!」

悟空「クソォォ…!!」

悟浄「では紅該児…また後でな。」

紅該児「すぐに…。」

悟浄「……。」


妖怪達を斬りながら神殿へ進んで行く三蔵一行、悟空は疑問を抱えながらも先へ進んだ。


悟空「…俺は…どうしたらいい…」


天竺までやってきた三蔵一行、しかし天竺の西域の村はすでに妖怪によって教われていた。


その原因を探るために天竺国皇后に会いに行く三蔵一行。


承恩は避難した村の人が診療所にいると聞き亮杏を探す為に診療所へ。


三蔵は天竺国皇后に会い牛魔王がこの国を攻めていると聞き、牛魔王の所へ行く決心をした。


八戒「……ったくよ~。妖怪は榧の外かよ。」


玉座の間から出された悟空、悟浄、八戒。廊下の椅子で座って嘆いている八戒。


八戒「まったく、いけすかない国だぜ!!」

悟浄「まぁ、そう言うな。…本来、俺達妖怪はこの城に入ることすらできないのだからな。」

八戒「…そりぁ……そうだけどよ…」

悟浄「俺達は師匠を待つだけだ。」

八戒「……それにしてもよ。あんなに近くの村がやられたっていうのに、…ここの国民はどうなってんだか。平和ボケしすぎじゃねぇ。」

悟空「……いや、違うな…」

八戒「あ?」

悟浄「気付いているか?悟空。」

悟空「あぁ…」

八戒「おいおい、なんだよ二人して!!」

悟浄「…ここの国民は何かに怯えている。」

八戒「そりぁ、こんだけ妖怪に攻められたら…」

悟空「ここの妖怪に怯えるなら、他の土地に行けばいい。」

悟浄「…それが出来ない、なにか理由がある…」

八戒「理由?」

悟空「…この国には……何か…」


承恩と玉龍が三人を見つける。


玉龍「悟空!」

悟空「玉龍!承恩!」

承恩「皆さん、三蔵は?」

八戒「皇后陛下とこの奥の玉座の間にいるよ。」

承恩「…そうですか。」

悟浄「大丈夫か?」

承恩「えぇ。」

八戒「承恩!子供は!?子供は見つかったのか!?」

承恩「…えぇ。」

八戒「よかったぁ!」

玉龍「……ただ…深手をおっていて。」

悟浄「何!?」

承恩「命には別状はありません……ただ暫くは安静が必要だと…」

八戒「じゃぁ直ぐに行って看ててやれよ!!」

承恩「いえ…それよりもまずこの国を守らなくてはなりませんから。」


そう言うと承恩は広間の方へ…


玉龍「……私達には…何も出来ないのでしょうか…」

悟空「俺達に出来る事は、早くこの騒動を終わらせて、家族水入らずの時間を作ってやる事ぐらいだな。」

玉龍「悟空。」

八戒「オォシ!!そうと決まりゃぁ!!!サッサと妖怪共を倒しに行くぜぇ!!!」

悟浄「…場所は?」

八戒「あ…」

悟浄「気持ちはわかるが、おとなしく師匠をまってろ。」

八戒「……はい。」

悟浄「…しかし…人間ってのは……本当に様々な親がいるものだな。」

玉龍「どうしたんです?悟浄さん。」

悟浄「いや…ちょっと昔を思い出してな。」

八戒「昔?」

悟浄「あぁ、倒了と初めて会った時の事をな。」

八戒「倒了と?」

悟浄「捨て子なんだアイツは。」

玉龍「倒了さんが!?」

悟浄「あぁ…捨てる神あれば拾う神あり、まぁ偶然とはいえそのまま俺の弟子として育てたんだが……倒了が捨てられていた所で会った奴に言われたよ。」

玉龍「なんと言われたんです?」

悟浄「…親に捨てられた時点で生きる権利など無い……とな。」

玉龍「…そんな。」

悟浄「ソイツはそんなに悪い奴でもなくてな…ソイツの名前がタオラで…縁があったとゆう意味で赤子だった倒了に同じ名前をつけたのさ。」

八戒「…倒了にそんな過去があったのか。」

玉龍「…倒了さんの親は?」

悟浄「俺も散々探したんだがなぁ…」

玉龍「そうですか…」

悟浄「…こんな時代だ。生活を苦に赤子を捨てたか。…もしくは何かに追われていて赤子を捨てたか。今となってはもうわからんが。」

悟空「時代か…。定のいい、言い訳だな。…その倒了と同じ名前の奴が言った通りかもな…」

八戒「何!?」

悟空「親は何があっても子供を見放すもんじゃねぇ。」


悟空の胸ぐらをつかむ八戒…


八戒「お前なぁ!!倒了の親だって捨てたくはなかったはずだ!…でも捨てなくちゃいけなかったんだ!!」

悟空「なんでわかる!!」

八戒「わかるさ!!……ずっと…見てきたじゃねぇか…俺達。」

悟浄「八戒…」

八戒「人ってさ。時々どうしようもなく馬鹿な事もするけどさ。…でも…なんて言ったらいいかわかんねぇけど…すげぇ暖けぇ物を持ってんだよ。」

玉龍「…八戒さん。」

八戒「だからきっと…その倒了の親だってなにか理由があったはずだ。…そうだろ?」

悟浄「あぁ、そうだな。八戒。」

悟空「……お人好しだな。お前は。」

八戒「じゃなきゃ、ここまで旅してねぇよ。」


その頃玉座の間では…


皇后「そうですか三蔵。…お願いできますか?」

三蔵「えぇ。私達が牛魔王の手からこの国を守ります!」

皇后「頼もしい限りよ。…では元老院には私から報告しておきましょう。…あの者をここへ。」


奥から一人の男が現れた。


男「お呼びでしょうか。」

皇后「うむ…三蔵よ。この者が牛魔王の神殿まで案内してくれようぞ。…紅該児。あとは頼みますよ。」

紅該児「…御意。」

三蔵「よろしくお願いします。」

皇后「この者ならきっとお役にたつでしょう。なにせ我が国の軍の隊長なのですから。」

三蔵「それは心強い。」

紅該児「我が身に代えてもあなたをお守りします。」


カンカンカン…カンカンカン…
遠くで警鐘を鳴らす音がする…


八戒「警鐘の音?……おい、アレ!!」

承恩「西門が!!」

悟浄「さっきの奴らか!!」

八戒「だから言ったのによ!!」


直ぐに飛び出して走って行く八戒。それに続き悟浄、承恩が走りだす…


悟空「待て!!八戒!悟浄!承恩!」

玉龍「悟空!私達も…」

悟空「駄目だ!…三蔵がまだ…」

玉龍「悟空!!」

悟空「三蔵…まだか!?」


西門の近くでは妖怪達と門番達が戦っていた。


八戒「退け退け退けぇぇ!!」

門番「あなたは…」

八戒「ここらへんの人はもう避難したんだな!?」

門番「…おそらく…」

八戒「だったら早く確かめてこい!!ここは俺に任せろ!!」

門番「……頼みます!!」

八戒「おい!!妖怪共!!俺の名は天保元帥、猪八戒!!ここから先には一歩たりとも通さねぇ!!」


その場を後にする門番達、それと入れ替えに悟浄、承恩が入ってくる。


八戒「さぁて……暴れますかぁぁぁ!!」

悟浄「張り切りすぎるなよ!八戒!」

承恩「助太刀します!!」


次々と妖怪達を斬っていく三人、しかし妖怪達は斬られても立ち上がりだした…


悟浄「…これは。」

八戒「ヤベェな…こりゃぁ…」

承恩「手応えが…全くないなんて。」


再度妖怪達が切りかかろうとした、その時…


門番A「八戒殿、御無事ですか!?」

八戒「お前等…」


妖怪と八戒の間に割って入る門番


門番B「自分達だけカッコ付けないでくださいよ!」

悟浄「まったく…」

門番C「俺達だって国民を守りたいんですよ!」

承恩「皆さん…」


八戒は体勢を立て直し目の前にいた妖怪を斬り飛ばした…


八戒「……オラァぁ!!よぉく聞けぇ!!妖怪共!!…俺達は負けねぇ!何故なら……守りてぇもんがあるからだ!!」


劣勢だった戦いは門番達の加勢もあり妖怪達を追い返す事が出来た…


門番「ハァ…ハァ…やった。」

八戒「…あぁ……やったな!」

門番達「やったぞぉぉ!!」


物陰に隠れていた妖怪が門番に襲いかかる…


悟浄「危ない!!!」

門番「え…」


門番の腹部からは大量の血が噴き出した…


八戒「やめろぉぉぉ…!!」


八戒は妖怪を斬り、門番を抱えた…


八戒「…おい!しっかりしろ!!おい!!」

門番「……俺は……国民を…守れ…ましたか?」

八戒「あぁ!!守った!!立派に守りきったんだ!!だからよ!!死ぬんじゃねぇよ!!」

門番「……始め…から……あなたの…言う…通りに…して………い…れば…」

八戒「もう喋るな!!直ぐに診療所に…」


力を込めて八戒の肩をつかむ門番…


門番「お願いです!……この国を…救って……ください!!」


その門番の眼差しの先には三蔵、悟空、玉龍、紅該児が居た…


三蔵「…わかりました。」


それを聞いた門番は安堵の表情を浮かべた、力が入っていた手はもう動かなかった…


八戒「アアァァァァァァ……!!!!!」


悲しげな八戒の声がこだました…
それはまるでこれからの戦いの狼煙をあげるかのようだった…