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●石川雑記帳●

医学博士号を取得。製薬企業に研究職として勤務。日々の雑感を書き綴ります。

春奈風花ちゃん(通称、はるかぜちゃん)という小学校六年生のタレントの女の子が書いた
いじめている君へ
という記事がインターネット上で話題になっている。
記事の内容は、タイトルの通り「いじめっ子に対するメッセージ」だ。
この記事が話題になっているのは、イジメに対する「的確な洞察だから」というシンプルな理由だ。
はるかぜちゃんに対しては賛否両論あるが、ぜひ一読してあげて欲しい。
この記事の特に感銘を受ける文章は、以下の文章だ。(以下、抜粋&改変)


”君があざ笑った子がはじめて立った日、はじめて歩いた日、はじめて笑った日、うれしくて泣いたり笑ったりした人たち(家族)の姿を。君がキモいウザいと思った人を、世界中の誰(だれ)よりも、じぶんの命にかえても、愛している人たちのことを。”


この文章は、非常に深い。
イジメに限らず、何かに行き詰まったときは、思い出して欲しい。


僕は、小学校の頃、いじめられていた。
(といって、昨今、話題になっているような酷いイジメではなかったし、当時はいじめられているという意識も小さかった。)
僕のいじめられ始めたきっかけは、「背が小さかったこと」だろう。
最初は、変なニックネームをつけらてバカにされ、悪口を言われた。
手を出されることもあった。
そして、靴を隠されたり、モノを奪われたりすることもあった。
その程度のイジメだったのだが、僕が最も精神的に堪えたのは、ランドセルを奪われ、踏みつけられたときだ。


なぜランドセルを奪われ、踏みつけられたときに精神的に堪えたのかというと「両親の顔が浮かんだから」だ。
両親がランドセルを買ってくれた時の気持ち。
僕が、初めてランドセルを背負ったときの両親の気持ち。
その日、いつも通り僕を学校に送り出してくれた両親の気持ち。
そんなことが、頭の中を走馬灯のように駆け巡って、泣いた。
「こんなこと(イジメ)されてゴメン」と両親に対して詫びた。


過去にこんな気持ちを抱いた僕が、はるかぜちゃんの記事に深く感銘したことは当然である。
いじめっ子には、彼女の記事を読んで欲しい。
いや、彼女が最初に書いているように、いじめっ子は自分が誰かをいじめていると気がついていないので、全ての人に読んで欲しい。
そこに「ある人」がいたら、その人の背景には、その人を想っている人が何人もいるのだ。
このような考え方によって、イジメはもちろん、普段、自分の周囲にいる人に対して少し優しい気持ちになるはずである。


ところで、僕がいじめられていたのは、かれこれ20年ほど前だ。
その後、どうやって僕がイジメから抜け出せたかというと、主に3つの要素があると思う。
1つは、当時の担任の先生だ。
その先生が、ある日、僕が泣きながら帰るのに気がついてくれて、手を差し伸べてくれた。
今でも、その先生には心から感謝している。
2つ目は、イジメに対して無反応を貫くこと。
悪口を言われても鼻で笑い飛ばしたり、少し手を出されても最低限の防御以外は抵抗しないこと。
結局、抵抗しない人間はつまらないようだ。
そして、最後は、自分の得意なモノを作ること。
僕は、当時、なぜか急激に成績が伸びたため、周囲から一目置かれるようになった。
さらに、それが自分の自身に繋がった。


もちろん、この3つの要素だけで必ずイジメが解決するとは思わない。
特に、2つ目は相手次第だし、昨今のエゲツないイジメでは、対抗手段にならないかもしれない。
また、1つ目は先生に恵まれていないと難しい。
ただ、少なくとも3つ目、得意なモノがあると、(表立って分からなくても)少なからず誰かが認めてくれるはずである。
それが、自分の心の拠り所になる。
その拠り所が、少しでも自分を癒してくれれば良いと思う。


昔、いじめられていた僕へ。
あれから20年、僕は、それなりに楽しく、健康な毎日を過ごしています。


少し前にエネルギー関連の討論会が、政府やエネルギーについて考える組織によって、開催された。
僕もその1つに参加してきた。
討論の議題としては、政府が提示している2030年の3つのエネルギーシナリオについてだ。
要は、2030年に原子力発電で作る電力の比率を0%, 15%, 20-25% のいずれの割合にしていくか?というものである。
ちなみに、再生可能エネルギーの割合は、それぞれ35%, 30%, 25-30% となっている。


個人的には、日本の地政学的な問題や技術的な問題を考えると、再生可能エネルギーをここまで高められるのかに疑問があるのだが……それは置いておこう。
一方、原子力発電についてだが、その割合を0% にするためには、かなり積極的に節電やコスト負担などの行動が求められる。
原子力発電所の使用期限である40 年を厳守していくと、原子力発電が自然減していき、原子力発電の割合は15% となる。
20-25% となると、新たに原子力発電を新設、または現在あるものを強化/増強して使い続けることになる。


やはり、東日本大震災から約1年半が経とうとしている今、話題の中心は原子力発電についてだ。
僕は、今回、この討論会に参加するにあたって、改めて3冊の本を読んだ。
1つは、親原発派ともいえる藤沢数希氏の著書「「反原発」の不都合な真実」。
もう1冊は、反原発派の小出裕章氏「原発のウソ」。
最後は、医師の立場から放射線を語る中川 恵一氏の「放射線医が語る被ばくと発がんの真実」である。


インターネットで情報収集をしていると、「あいつは嘘を言っている!」だとか「○○は御用学者!」と言われているが、三者三様、それなりにしっかりデータ分析をしているという印象を受けた。
ただし、立場がそれぞれ違うので、話の誘導の仕方が全く異なるのだ。


例えば、藤沢氏であれば、経済的視点が強い。
また、様々なエネルギーを比べたときに効率性とそれに伴う人的被害をマクロな視点で比べている。
一方、小出氏は、放射性物質の危険を強調して書いている。
たしかに、強烈な放射性物質に曝されれば、人を含め動物の体は大きく傷つけられるので間違いではない。
最後に、中川氏は、今回の福島第一原子力発電所の事故で、実際に人が曝された放射線量が、危険なのか否かを論じている。
また、総合的に見て、事故が起きたときに、何が人の体にとってストレスなのかを論じている。


おそらく、いずれの本も決定的に間違えていると言ったことはないのだろう。
ただし、いくつかの立場の主張を聞いて、何を選択するかは人それぞれである。
僕の個人的な意見としては、やはり現状は一定程度、原子力発電を使用するのが合理的な判断だと思う。
こういった問題で、世の中に絶対的な答えなどないのだ。
それぞれの人が考えて、最適解だと思うものを選択するしかない。
そして、それをもとに自分の支持する人間を決め、選挙にいき、政治家に判断をゆだねるしかないのだ。
1億3000万人もの人が暮らす日本は、そうやって意思決定していくしかないのだ。
そんなことを思ったエネルギー問題である。

7月の下旬、米Yahoo! の新CEOにマリッサ・メイヤー氏が就任したことが、話題になった。
話題になった理由としては、主に2つ。
1つは、彼女がライバル企業google の社員(副社長)だったこと。
もう1つは、彼女が妊娠6ヶ月であったことである。


前回に引き続き、友達(♀)とマリッサ・メイヤー氏を介して、男女平等の話になった。
上記の通り、メイヤー氏は妊娠6ヶ月である。
つまり、100日後に出産を控えて、google からライバル企業Yahoo! のCEO に就任したのである。
僕の女友達は、この報道に概ね賛成であり、喜んでいるようであった。
しかし、僕は、この決断が果たして正しいのか否か判断ができない。
(まぁ、他人事なんで、そこまで気にする必要もないんですが……)


僕は、自分の上司が男性であろうが女性であろうが、能力的・人格的に優れていれば、全く気にならない。
ただ、僕が気になるのは、メイヤー氏の健康状態だ。
妊娠/転職/CEO 就任、どれか1つだけをとっても、かなりのストレスがかかると推測できる。
彼女には、それらが一度に起こっているのだ。
そして、僕が最も危惧するのは、子供が無事に健康な状態で生まれてくるのか?ということだ。
また、母親は出産後も健康な状態を維持できるのか?ということである。
僕は、なんだかんだ言っても人の命が最も重要だと思っている。
そして、出産は母子の両方において完全に安全だとは言えないからである。


こちらのWHO のデータを引用しているサイトによると、アメリカの死産の割合は1000分の3 である。
また、アメリカの新生児(生後1ヶ月以内)死亡率は、1000分の4 である。
一方、wikipedia
によると妊産婦の死亡率は、100,000件に10 件である。
これらの死亡率が高いか低いか判断するのは、人それぞれである。
また、死産や新生児の死亡は、「先天的奇形」が最も多いようであるが、その他の死因も含めて
、ストレスが原因とは言えない。
したがって、ストレスを与えられることが悪いとは言い切れないが、個人的には良くないという印象がある。
(科学者として、このコメントは完全にアウトですね。。。)


さて、メイヤー氏の話に戻すが、この件に関してどう考えるか?ということである。
妊娠/転職/CEO 就任がいっぺんに起こる状況は、なかなか一般人では考えにくい。
しかし、これを「個人の問題」と言ってしまうのは、あまりに安易だと思う。


僕の女友達は、より男女平等に働ける環境を整えるのが重要で、例え彼女のような状況でも、十分にケアできる会社を作ることが重要だと言っていた。
ただ、僕は上述したように、妊娠/出産はいくらケアしたところで、一定程度の危険性は残ってしまうと考えている。
絶対安全!なんていうことは、体外子宮でも使用しない限り無理である。
僕の立場は、むしろ、メイヤー氏の妊娠がマーケティング要素として、Yahoo! のイメージアップに使われたと思っている。
そして、きっとメイヤー氏も、その考え方に同調したと思っている。


仮に、妊娠をマーケティング要素として使用したとして、果たして男女平等を促進するものだろうか?
僕は、そう思えない。
女性の特徴である妊娠をマーケティング要素に使用したとすると、むしろ前回のエントリーで書いた「男性社会の中に、女性がいさせてもらっている。」と言う現象が起きているのではないだろうか?
仮にであるが、女性の特徴をマーケティングに使用したというのは、むしろYahoo! は男社会であるという印象を受ける。


また、WSJでは、ただでさえ女性が社会的に高い地位に就く際に「ガラスの崖現象」というものが存在すると指摘している。
「ガラスの崖」と言うのは、経営の悪化している会社は女性を重要なポジションに就け、失敗した際のスケープゴートとする傾向があるというのだ。
(あくまで、男女選択は無意識におこなわれているらしい。)
様々な記事によると、たしかに米Yahoo! は、ここ数年業績が良くない。
不振に陥ってから、男性のCEO が何人も入れ替わっているという事実もある。
したがって、一概にメイヤー氏が「ガラスの崖」の犠牲者になるとは言わないが、その素因は大いに残っていると思う。
特に、妊娠をしていれば、なおさらスケープゴートにされやすいのではないか?
そんな懸念がつきまとう。


もし米Yahoo! がメイヤー氏を本当に欲しい人材と考えるならば、もう少し他のやり方があったのではないか?と僕は考える。
個人的な意見としては、やはり出産後にCEO に据えるべきだったと思う。
出産前に「出産後にCEO として雇用」という契約は結べなかったのだろうか?
もしくは、最初は「顧問」とか「アドバイザー」という肩書きで契約する形もあったのではないか。
そして、プレスリリースも出産後で良かったのではないだろうか。
男女平等の精神があるといえども、良くも悪くも男女の肉体的な不平等がある。
したがって、状況に合わせて柔軟に対処するのが良いと思う。
それが、本当の男女平等だと僕は考える。
……そんな考えは、僕がIT 業界と会社経営を分かっていないからなのだろうか?


とにもかくにも、メイヤー氏が無事に出産でき、子供が元気に産まれることを心より祈ります。