【別冊NHK100de名著 集中講義~三大哲学書~】
哲学入門書の決定版として申し分ない。
様々な哲学解説書があるが、これは最も一般人に近い感覚で書かれていると感じる。
解説は立命館大学大学院准教授、戸谷洋志氏。
カント『純粋理性批判』
ヘーゲル『精神現象学』
ハイテガー『存在と時間』
この三冊の難解な本を、世の中の事象に絡めて説いてくれる。
各々の内容をどのように解釈しているか、又はどのように関連性を見つけるのかは一読して落とし込んでいただきたい。
この本の最大の魅力は「おわりに」こそあると私自身は思っている。
そこにはこのように書かれている。
①古典的な哲学書を読む時は共感的になること
②索引を活用すること
③質の良い二次文献を大量に読むこと
以上の3つのポイントは、筆者が専門的な哲学の教育を受けるなかで、実際に学んだ古典の読み方だと書かれている(門外不出の虎の巻だとか)
このように名著と呼ばれる古典(哲学に限らず)は、身近に通訳者がいないと到底独学では読み解くことは不可能なものばかりである。
200年以上前の本を読み解くときに、この100分de名著は最高のパートナーと言える。世の中には100分deシリーズ(又は10時間で学べるシリーズetc)を冷笑する方々も少なからず存在するが、それは気にせずで構わない。
AIの黎明期である現代において、ますます自身で考えることの重要性は高まってきている(会社ではAIを使い、業務効率化を図れと言われ続けているが...苦笑)
それでも思考の放棄はしたくない。
この悩みや不安に、一定の共感をしてくれるヘーゲルとハイデガー。
この人たちはこんなこと言ってるんだぜと教えてくれる戸谷准教授。
100de名著を理解できることはあり得ない。
それでも100分de一歩目を踏み出すことは可能である。
AIという『客観』に埋没せず、将来、自分自身の責任で言葉の紡いでいく為の100分であった。