近頃、政治的なことを時々書くようになりました。
すると、ある人に「新田さんはSNSで何がしたいの?」と聞かれました。
その答えを、賢治さんが「注文の多い料理店」の序文で書いてくれています。
少し長いですが、全文をご紹介します。
ひとりでも多くの方に賢治さんの作品を読んで、透明な心に気づいてもらいたいからです。
序
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたなでも きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。
わたくしは、そういうきれいなたべものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。
ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたがないのです。
ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。
なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
大正十二年十二月二十日
「注文の多い料理店」 新潮文庫 より
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私の投稿が、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません 😊🙏✨✨✨
今日も読んでくれてありがとう🙏😊💕