少し郊外なので、大阪市内よりは緑も多くて、静かな場所だ。

部屋に着いて、チャイムを鳴らすと、すぐにアキが出て来た。
彼女を見て、ぼくは思った。相変わらず、奇麗だ。

ぼくたち3人が初めて会った時、彼女はまだ高校生だったのだ。
今でも、まだあの頃のあどけなさが残っている。
黒くて大きな瞳が、少し潤んでいた。
玄関先でハグした時に、彼女のポニーテールから、シャンプーの甘い香りがした。

「カズマくん、全然変わらんねえ」と彼女が言った。
アキの方こそ、相変わらず奇麗だね。と言おうとしたが、恥ずかしくなって、やめた。
「5年ぶりくらいかな?」
「そうやねえ。ちょうど私が22歳の時に会ったんが最後やったね」と彼女が言った。
「お前、よお覚えてるなあ」とケンが関心しながら言う。
「私が22歳の時に、ケンと別れようと思って、カズマくんに相談に行ったから、
よおー覚えてるの」 アキがケンの顔を見据えながら言った。
ケンは驚いて、アキの顔を見ている。始めて聞いたようだ。
「22歳の別れって言う歌、覚えてる?」とアキがぼくに言った。
相談を受けた時に、彼女が話していた歌だ。
歌詞の通り、女は22歳くらいで将来の事を考え始めるらしい。
その時、アキは違う男からプロポーズされていたのだ。
話では、とても良い奴だったらしい。
そうして、一通り自分の気持ちを話しただけで、結局、ぼくは気の利いた
アドバイスも出来ずに、ただ、聞いているだけだった。
「そういう過去を乗り越えて、今が幸せなんだからいいじゃないか」
と、ぼくは、ふたりに言った。
それから、3人で食事をしながら、昔話でおおいに盛り上がり、まるで新婚のような二人に
すっかり当てられながら、楽しい一時を過ごした。



その夜、旅の疲れもあり、ぼくは、リビングに布団を敷いてもらうと、すぐに寝てしまった。

そして、あの恐ろしい夢が始まったのだ。

次回につづく
では、今日も良い日でありますように

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