備忘録② | あの頃は若かった

あの頃は若かった

~失敗ばかり、後悔ばかり、運のない人生。老年期に向かっての心のこと、身体のこと。もう少し悪あがきしてみます。~

備忘録①の続きです。

 

○AV監督代々木忠さんによると、セックスで得られるオーガズムには3つの種類があり、①自分とつながるもの②相手とつながるもの③宇宙とつながるもの、なのだそうです。自分を抑圧しているものを跳ね除け、性的な欲望を自覚し肯定することで自分とつながり、その回路が開かれることによって「人とつながることで得られる快楽」が得られるようになる。著者は女性がセックスでオーガズムを得るには、自分の欲望を自覚し、性的快楽を求めるのは自然なことだと認め、快楽を享受することを自分に許す必要がある。相手から与えられるものではなく、自分で快楽を獲りにいかなければならないとしている。

 

○セックスの醍醐味は、普段の自分を手放し、それを越え出て行くことにあります。溺れて壊れることが必要なのです。恋愛などしなくてもオーガズムは得られる。それなのになぜ特定の相手と親密になりたいのか。それは特別な感情をもった相手とするセックスのほうが、マスターベーションや商行為でするセックスより、数段気持ちがいいからです。自分が相手にとって特別な人間であるという実感を得られることで精神的に満たされること、脳をフル稼働することで得られる満足感は特定の相手でないと得られないからです。

 

○セックスレスはなぜ苦しいのか。私たちはいつだって、互いに求め合って、相手に喜びを与え、自分も喜びを与えられるセックスを望んでいる。根っこでは相方とセックスをしながら、仲良く暮らしていきたいと思っている。そんな夫婦なら当たり前と思われている「あるべき正しい夫婦の形」が得られないことで「愛されていない」と感じてしまい、苦しみを生む。

 

○推し活という文化があるように、人は誰しも恋愛に対するあこがれを失ってはいない。人はときめきを感じると「脳内麻薬」ともいわれる神経伝達物質「ドーパミン」が脳内に大量に分泌される。ドーパミンは楽しいとき、おいしいものを食べたとき、褒められたとき、意欲や好奇心がわいたとき、恋愛しているとき、セックスで興奮したときなどに分泌される。ドーパミンが「麻薬」といわれるのは、私たちが常に「快楽」を求めているからであり、誰かを好きになってときめき、その人と最高に気持ちいいセックス(挿入がなくても)をしたいという思いを、人はいくつになっても持ち続けているのではないか。

 

○恋をすると、脳の中の古いニューロン(神経伝達物質)がどんどん新しいニューロンに置き換わっていく。性欲がなくなると人は心身ともに衰え、不健康になる可能性が高まる。健康でいるためには、実際にセックスするかしないかは置いておいて、性欲を維持する必要がある。動物である私たちにとって、性欲も食欲や睡眠欲と同じように、生きる上では必要な欲望である。

 

○セックスは誰としても同じではありません。2人で試行錯誤して築き上げた「楽しいセックス」はかけがえのないものです。「こんなにリラックスできて満足感が得られるセックスはほかの人とはできない」という思いを、2人が共に持つことが目標です。それにはお互いのセクシャルファンタジー(妄想)を共有し、屈託なくセックスについて話し合えるようになることが必要です。常識や既成観念を脱ぎ捨てて、思いきりいやらしい想像をすること、体だけではなく脳を刺激し、トランス状態になることが必要です。

 

○『ニューズウィーク』の記事では、アメリカの独身者5000人を対象にした検査で、男性は64歳、女性は66歳で「最高のセックスを体験した」という結果が出ている。その理由は「60代の男女は経験も豊富でどうしてほしいか、自由にセックスを探求できるから」としている。

 

○男性にも更年期があり、男性ホルモンの分泌物が減って性欲が衰えてしまう人がいる。男性の性機能は衰えてしまうと回復が難しくなるので、男性も女性も、性機能を健康に保つためには、使い慣らしておく必要があるのです。そして男性も、何歳になっても射精はできるし、オーガズムも得られるそうです。つまり、男性はいくつになってもセックスができるということです。

 

○著者は長年のセックスレスを克服し、60代でセックスができるようになったことで、結局は子どもの頃からの自己肯定感の低さ、自尊心の脆弱さを克服し、自分に自信を持って好奇心や冒険心を心置きなく発揮できるようになったことがいちばんの収穫と言えるのではないかと述べられています。

(終わり)