情熱がない。 | あの頃は若かった

あの頃は若かった

50代半ばの生活や仕事、人間関係について書いています。老化や性のこと、心や精神世界のことなど、現在の課題について考察しています。

達観したわけでもないのに、自分の中から情熱がなくなったのを感じる。

年齢的なものなのか、若さや体力の衰えのせいなのか、子育てという役割を終えてしまったゆえなのか、それとも周りがすでに枯れかけた人ばかりのせいなのか。わからないのだけども、「~したい」という欲求がなくなり、ただの時間つぶしのような過ごし方しかできなくなっている。「すべきこと」しかなく、やりたいことが何もない。あきらめたことばかりが積み重なっていく。

 

ああ、あのときの、あの情熱はどこへ行ってしまったのか。

 

SNSで知り合った人に恋心を抱き、数十年ぶりのセックスに目覚め、はるか遠距離まで会いに行ったあのとき。おっさんと再会し、再びセックスに溺れたあの日々。セックスを失いたくなくて、熟女デリヘル店でバイトした日々。普通の主婦風キャラが受けて、意外にも人気嬢になって荒稼ぎして、調子に乗っていたあの頃の私。初めてのモテ期を経験し、いろんな男からチヤホヤされていい気になっていた。

 

どこからあんなエネルギーが沸いていたのだろう。

今は性欲さえもなくなってしまった。あの生理周期とホルモンに翻弄され、必ずしたくてしたくてたまらない日があった。今はもうそんな欲望もわいてこない。

 

おっさんは年を取ってヨレヨレになり、もはや私は金ヅルでしかなく、毎朝の「愛してる」LINEも週末にファミレスに誘ってくるのも、すべて自分の食いぶちのため。私を女として求めてくれたおっさんはもういない。おっさんの生活はすでに窮地に陥っていて、家での生活は設備面からしても厳しいと思う。65歳になった時点で介護保険に移行になり、もしかしたら施設行きになるかもしれないと思っている。経済的な理由だけで介護サービスを必要としない、養護老人ホームみたいなところがいいかもしれない。おっさんの相談員さん、(65歳になったら)ケアマネさん、お姉さんがどこまで動いてくれるのか。私が担当の相談員だったら放っておけないよ。すでに他人の手が必要になっているよ。今度こそ、もうすぐお別れかもしれない。

 

まだ若かった人妻の私を誘い、盗み出してくれたおっさん。甘い蜜を吸わせてくれ、私の身も心も気持ちよくさせてくれたおっさん。私には必要だった。あの30代前半からの私の色香を知っているただひとりの人。失いたくないけど、もう私には荷が重すぎる。セックスを楽しんだ代償としてでも、老後の面倒までは見れない。

 

こんなふうに、みんな老いていくんだ。私だって老化が進んでいる。あちこち痛くて、あちこち劣化している。もっと若かったときにもっと楽しめばよかった。仕事と子育て、お受験に翻弄した40代。仕方なかったとしても戻りたい。あの頃は今よりももっと若かった。きっと今よりもきれいだった。もっと体力もあって、情熱もあったのに。命をかけた子どもたちも、今はみんな私の手からいなくなった。

 

今はぬけがらのような、老いた私が残っているだけ。