本心 | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

覗くと、まだ部屋は薄暗くて。

私がバスルームに立った時と何も変わらない様子



雅治は仰向けでまっすぐに寝ることが多いみたいだけど。

でも今は、私がいた場所に手を伸ばしたような格好でこちらに傾いた側臥位になっている



もしかして・・・探してた?


・・そんなお花畑な妄想をしたりして




ベッドに腰を掛けて

目を閉じて眠っている雅治を、しばらく見ていた




そうして


そっと、いつもの位置に滑り込む。

目を閉じたままの雅治は私の首筋に腕を差し入れ


抱きまくらを見つけたように、私を抱え込んだ



「・・起きてるの?」



「・・・・ん・・・」



気だるさが、まだ勝ってる(笑)





「・・・ん・・・トイレに行ってた?」


「気づいてたの?。ちょっとバスルーム、少し身体を流してきたから」



流したいような

流したくないような


いや、流さなくちゃいけなくて




「そう・・・もう・・そんな時間?」


「いや、まだそういうわけでもないけど。少し眠るくらいの時間はありますよ、大丈夫」



「そう・・・」




私は、もう満足してた


身体の快感は勿論だけど

それだけがSEXじゃないのよ

ひょっとしたら、今日みたいな雅治の変容に触れるほうが、恋の満足度をより高めるのかも


隣りにいるから

それでもう、充分


本心でそう思う


本心・・・・





「ん?」



30分くらい。

眠たくなりかけていた私の背後から腕が伸び、両腕はくるりとまきついた

その腕は締まっていき


「何?目が覚めた?」



 


 

 

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