もう・・・ | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

「・・・・・あぁ・・・」 


前は

その声を続かせようと、思わずの力が入った


焚きつけているのに、私に火がついてどうする




「・・・少し、痛いよ」


そんな、前と同じ間違いはできるだけしないように

前よりも、上手に

お好みはどこに?と



雅治の喉が、上がり下がりする

少しずつ、呼吸が早くなる


いいえ


まだ



今日は惑わされない

空気が抜けるような、振る舞いはしない

 



昔よく言われてた


「あれ・・前回のテストでも、これと似たような間違いをしてなかった?」


って。

どうして、たかがゼミ生のそんなとこまで見て覚えてる。でも、そう言われたらそのとおりだし、期待に添えてない自分が不甲斐なくて申し訳なくて。

必死ではあっても、納得いかなかった試験のあとはいつも以上に顔を見られず、まっすぐに瞳を見てくるあの目が怖くて、話しかけられないように目を伏せてた



私の「前」を忘れたふりして

忘れたと言って、雅治は覚えてる



そんなに気にしてたのは私のことだけで

試験結果をチェックしてたのも、私の答案だけ

恋愛感情はカケラも見えぬ最も遠回りな、でもその時の私が一番欲しい形で、見てくれていた


そんなとこは、昔から、たぶん今も変わらない



「・・・sana.・・・・」


「なあに?」



「もういい・・・もう・・・・」



「ん?」



「もう・・・もう・・僕の上に・・・乗って」

 

 

「どうして?」



 「入れよう・・・ねぇ・・・・sana」



さまようように

うわ言みたいな溜息のような


もう


もっと


男性性と女性性が入れ替わり

私の中の男が、雅治の中の女を愛していく




「僕の上に乗って、もう・・入れよう・・・?」



「いーや」



 

 「入れよう・・・・もぅ・・・・・」




別のものにも抵抗しているかのように息を吐き

緩慢な動きの中で薄く目を開いた



その気配と相反する

今は、そこにだけ強く意思がある


力が入り

強く、私の舌を刺激するようにそり返る




「何を?・・・まだ、イヤ」




「んん・・・・もう入れよう・・・」





力が抜けていたはずの長い腕は、

雅治の下半身にかがみ込んだ私の腕を掴んだ

 

 



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