欲望に素直に | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

「疲れた・・・今日は、もうたぶん無理だね」

 

そう言っていたのに

シャインマスカットが効いたか(笑)

 

 

触れると

それはまるで疲れてないかのようで


 

「ええ?ウソでしょ」

 

「ん・・どうした?」

 

 

「・・・大丈夫なの?何で。疲れたんじゃないの」

 

 

「何で、って」

 

 

「だって、さっき、もう無理だって言ってたじゃない」

 

 

「ダメなの?」

 

 

「・・・・」

 

 

 

「疲れたけど。でもsanaが、僕をこんな身体に変えて煽っていくんだもの、仕方がないよ」

 

「もう!知らないって。明日、腰が痛いって言うようになるわ」

 

「明日は言わない、痛いのはたぶん明後日だ」

 

「もう」

 

 

雅治は、そう言いながら私を放した

腕の力が抜けて、両腕をぽとりとベッドに落とし目を閉じた


疲れてるじゃない まだ見てわかる

それがでも、心地いいのなら仕方がないけど照れ


 

「・・・sana」

 

「なあに?」

 

 

「ねぇ・・・」

 

「んん?・・・なあに?」

 

 

 

「ねぇ・・・だから・・・口で、して」

 

 

 

 

私に身体を投げ出し、叶うと信じ切った顔をして

 

欲望に素直に従い、快楽を求めてくる

なすがままされるがままを求め

 

まだ、何もしていないのに

もう望みが叶ったような、満ちた、澄んだ顔をして


こんな顔するの

横顔に見とれる




昔はね

どストライク好みな顔、というわけじゃなかった


だけど今は、本当に綺麗に歳を重ねて

顔に、年月と深みが出て知的さが増した

30を越えたら、やってきた生き様で顔は作られるものだというけど


にしても。

解きすぎだって、私に

どれだけ安心してるの


任せる、みたいなこんな顔をされたら

触れないで、しないでと逆に言われても、無理で

 

 

そっと触れると

ピクッと、太ももが震える

 

添えた手に、また少し張りが加わる

じわりと滲み、手が濡れてきて


硬くなる


せずには、いられなくなる



私がのたうち

雅治の腕の中で我を忘れ果てるのと同じように


私の手で、同じように




待ってて



口で、に緊張していたのは

まだ、ほんのついこの間

ためらう行為のはずだった


雅治も、そんなにそれを求めず

私もせず


だから、まだまだ

隠していることがあるのかもしれない






「ああ・・・・あぁ」


鳥肌がたつ

雅治も、抱かれる時の私の声に興奮するのだろうか

今この瞬間の、私のように



雅治の喉が上がり、切れ切れなため息が漏れた

くっ、とシーツを手のひらに掴む


その動きに、声に、逆立つように私は興奮し


でも、まだよ


まだ


強い動きだけが、気持ちいいのではないはず



私は、もう誰だろう

時々恐ろしくなる

こんなだった?と

こんな私の姿は、雅治以外誰も知らない



雅治の頭が上がり、目があった


「ん・・・・っ、sana・・・」


その喘ぎに、ゆっくり

さらにゆっくり、照準をあわせて

まっすぐに瞳を合わせながら



飲み込んでいく




 

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