水の契り⑧ | 水底の月

水底の月

恋の時は30年になりました 

私の手は、雅治の下半身に伸びた

 

興奮に触れると雅治はビクンと身体を震わせた

それに伴い、ぐっ・・・とはね返るように力が籠る

 

私を抱え込むようにしながら抱く

雅治の左手は私をすくう様に私の肩を抱き、右手は焦点を絞るかのように一点を攻めてくる

つま弾かれた場所は雅治の指を濡らし、さらに欲しがるかのように溢れ、滴り、つたい落ちて臀部を濡らしていく

 

抱かれた肩がのけ反り、首が反り返る。

枕にめり込むように頭が傾き、背中は弓なりになった

 

遠慮のない、しどけない喘ぎ声が暗い部屋に響いた

自分の声に欲情し声が出る。自分の息遣いに身体が火照る

そんな声に驚き、口を塞いだ

 

「いいよ・・・sana、もっと声を出して・・・見せて」

 

雅治の声に、少し喘ぐような色が加わる

私の乱れ方が、冷静さを保とうとする雅治を壊していく

 

 

 

反り返る私の背と同じ様に反り返り、雅治の下半身が強まっていく

後ろ暗さはまだ抜けない

背徳感が失せれば、この快感は当たり前になるのだろうか

 

いや、それだけではなくて

絶対に別の人と違うから、だから・・・

 

感じ過ぎないよう飲み込まれないように・・・と冷静さを保とうとする思考を、太腿から脇腹、腋窩まで爪先ですうっと撫で上げる雅治の手が邪魔した

そのままその手は胸に伸び、唇は強く乳房を吸う

 

 

「ん・・・あっっっ・・・あーーっ・・・んんんっっっ」

 

 

金切声のような声が出る

雅治を握っていた手を思わず離し、溺れるようにシーツを掴んだ

心得たかのように雅治の指は、私の昇り加減をさらに加速させようと強く動く

閉じかけようとした足はくっきりと開かれ、もう足先に力が入らない

それなのに背中は反り返り、踵は否応なく立ち上がろうとする

 

背中を指先で触れるのはダメ・・・だって。

触らせまいとベッドに背を押し付けようとしても、簡単に雅治は引き剥がし、私を抱えあげ羽交い絞めにした

 

「いやあっ・・・・・」

 

嫌ではないことは明白で

 

「sana・・・ああ・・・」

 

一気に火が付いて

魔女のような私に、今度は雅治が翻弄されていく

 

 

唇をねだるのに、上目に見上げた。

 

卑猥な紅の熱を帯びているであろう私の目に、雅治の眼鏡越しの眼が絡む。

きゅっと結んでいたはずの口元は少し開き、食い入るように目があうと、まるで、餌を突っ込む親燕のような勢いで唇を落としてきた

 

「雅治・・・ギュッてして。強く抱いて」

 

思考回路が動かなくなりそうだと言いたげな瞳は、私を見ながら切なげに揺らめき

私の欲望のまま、ねだるままに私を抱きしめる

 

 

抱かれたまま雅治の身体をまさぐり、欲しいものを探した

 

強く握ると、雅治の喉から、私の熱が燃え移ったような深い喘ぎ声が洩れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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