この「ゾーン」という言葉、最近ちょくちょく耳にするようになりました。
簡単に言えば「超集中状態」と云うことらしいです。
知らず知らずの間に気がついたら何時間も勉強してたとか、そんな何かに集中して時間を忘れていたとか、まぁそのような極端な集中状態のことですね。
誰にでも少しは経験がありそうですが・・。
例えばバッターがボールが止まって見える、これは少し古いですが川上哲治とか長島選手がそのようなことを言っていますね。
ボクサーなら相手のパンチがスローモーションのように見えるとか・・とにかくもの凄い集中状態であり、勿論それを意識している訳ではなく、結果としてそうだった・・・。
最近身近でそのような状態に入った人とその場面を目の当たりにしました。
五月の京都大会、同じ三重県のTさん、僕らより年配のベテラン剣士です。彼とは親しくいつものように立合を見学していましたが、その時その瞬間がまるで一瞬の雷光のように現れました。
お互い立ち上がってしばらく睨み合い、先にTさんが小手に仕掛けました。彼の最初は大体そのパターンが多いのです。
何気にうーーんと思いながら見ていたら、その刹那、大柄なその相手に小柄なTさんが真っ向から大きく鋭い面に跳びました。
失礼ながら今まで一度も見たことのないような迫力と力に溢れたもの凄い面でした。その立ち会いを見ていた人達からは一瞬どよめきが起きたほどでした。
勿論それで勝負は決したのですが、その後です。
僕は驚いて、感動して立合後の未だ余韻の残る中すかさず彼の元に駆け寄りました。
そして「凄い面を打ちましたね」「きょう一番と言ってもいいほどですよ」と・・・。
すると彼はえっと云うような顔をして「全然覚えていないんよ」と言いました。当然勝負の決着も付いて勝ち名乗りも受けているわけですから勝ったということは認識しているのですが、その場面のことが全然記憶にないと云うのです。
まぁ、まさしく一瞬「ゾーン」に入っていたのですね、後で実感しました。
今このことについて少し知識を集めています。ゾーンに入るためのステップもあるようです。
これも先に書いた脳科学の進歩が言わせるものなのですね。
で、八段審査、特に二次審査この「ゾーン」状態にならなければ難しいですね。今痛感しています。
多くの二次合格者はあまり立合の内容は覚えていないと言います。極限の集中状態だったからと云うことは容易に想像できます。
要するにこれなんですよ。
僕のように相手への対策をひたすら考えたり、こうきたらこうするぞとか、ここから攻め入ってこうしようか・・とか、そんなことまさに雑念というのですね。
まったく、そんなんばっかりでした、今思えば・・・。
そんなことでまたテーマが見えてきました。
先般の骨ストレッチの講習会でさりげに得た「幻肢痛」というものを逆に考えること、例えば自分のお尻にはないはずの尻尾が、それも太くて逞しい尻尾が・・・ある。そんなことです。
ところがです、これを超意識して稽古すると、まぁ案外凄いことになるわけです。何度も試しています。
あまり他言したくない極意の一つと思っています。
虎の尻尾、龍の尻尾、オオカミの尻尾・・ネコの尻尾等々使い分けてですね、やってるわけです。
ゾーンの話から少しそれてしまいましたが、要するに「濃い意識」・・・「心」、「精神」「肚」・・様々な表現がありますが、何はともあれこれが一番大切なことである・・これですね。
勿論「体」と「技」のある程度の裏付けは絶対必要ですけどね。
話飛びますが、白鵬、以前のようにガツガツ稽古していません。それで充分なんですよ、彼にとっては。
そんなことも様々に関連し錯綜してくるわけです。
心なのか、脳なのか・・・。
あーあ、終わります。