京都にきています。
今回は仕事の打ち合わせ少しと剣道稽古が主な目的です。
剣道は夜なので昼間はあまり余計な体力を使わずぶらぶらしているのですが、昨日は少し思い立って四条烏丸にある「京都シネマ」に行ってきました。
目的の映画は「ポプラの秋」という作品で、もう20年近く前になりますが、ある新聞の読書コラムで、川本三郎氏(作家でもあり映画や本の批評家です)が書評を書いていて、元々この方の書評や映画評には感心があり、僕的には高い信用もあったので早速読んでみたのが始めでした。
その時のコラムの内容少し覚えています「癒やしなどという安っぽい表現を超えた存在、そこから決して動かないという絶対的な安心感のようなもの。本文の中のポプラの木はそんな存在なのだ云々・・・」だったような気がします。そのコラムの切り抜きをスクラップ帳に残しているはずなのでもう一度読んでみますが、叙情的であるも確かなその書評には感心した記憶があります。
これは「湯本香樹実」という女流作家の作品で、この方の確かもう一つ前の作品「夏の庭」は映画化もされ、相当有名になりましたからご存じの方も多いと思います。
僕はもちろんこの「夏の庭」も読みましたが、やはりこの「ポプラの秋」が好きで、当時娘にも買って与えたし、剣道の教え子達にも何冊か買って薦めたことがあります。
僕も二、三度読み返した数少ない思い出の本でした。
今回それが映画化されたことは何かの雑誌か新聞で知っていたのですが、偶然それが「京都シネマ」で上映されていることを知り、一も二も無く駆け込んだと云う訳です。
平日のその垢抜けた商業ビルは時間も早かったせいで一階も二階も閑散としていましたが、映画館のある三階に上がったらそこだけが大層な賑わいで爺っ様、婆っ様がほとんど(失礼・・・)いわゆるシニアと呼ばれる方々ですが、多分熱心な映画ファンの人達なのでしょうね。その方達がチケットカウンターに行列していました。
これには少し驚きましたが、この日は午前10時頃から上映される映画がこの「ポプラ・・・」ともう一つ「戦場のピアニスト」という映画だったのでほとんどのお客さんはその「戦場の・・」が目的だったようで、「ポプラの・・・」の方はがらがら、隙隙でお陰でゆっくりと人目も気にせず涙も流せるし、僕的には良かったです。
この「戦場のピアニスト」も名画の噂の高い映画なのでこちらも是非観に行こうと思っています。
京都シネマ、前から気にはなっていましたがどうも嵌まってしまいそうですね。早速会員になろうと申し込んだら募集が11月からと云うことで、今少し待つことにします。
沢山のパンフ持ち帰り見ています。わくわくするような映画の世界がそこにあります。
若い頃「スクリーン」や「ロードショー」「キネマ旬報」等々に嵌まっていた僕は、自称「映画小僧」でした。
どうもこの映画小僧の片鱗がまた頭をもたげそうで何やら嬉しくも楽しくもある一方でいわゆる文化の香りのようなもの、それが久々に僕のまわりに立ち込めてきたようなそんな心境になっています。
京都と云うところはホントにディープで、あっちこっちの小さな場所や空間に様々な文化が散りばめられ、そして息づいています。
有名なお寺や神社以外にもまた国立博物館や京都市美術館等々以外にも至る所に様々な小さなミュージアムやギャラリーがあります。
それはやはり「文化の坩堝」そんな気がしてなりません。
別段今初めて感じたことではありませんが、昨日のような時間を過ごすと様々なことが錯綜して、今更ながらに深く感じてしまうのですね。
そんなこんなで久々に映画のこととそれにまつわる思い出や記憶のこと、気持ち良く書いてしまいました。