2021年が始まってすでにひと月が経ちましたが、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 

恒例の今年の10冊を遅ればせながら書きたいと思います。

毎年お断りしていますが、これは、2020年にぼくが読んだ本の中でよかったものを紹介するものなので、発行はだいぶ前のものが多いです。

 

【フィクション】

1.「銀河鉄道の父」  門井慶喜

:宮沢賢治の父のことを書いた小説。

 賢治の父は出来た人物であり、日本の父としては、特に戦前においては非常に珍しいタイプで、子どもに惜しみなく愛を注ぎ、それを行動で表すことを恥じない。

うらやましいと思った。ぼくももっと表に出せばよかったと反省している。

賢治が意外にダメ男なのが意外だ。

 

2.「少年と犬」  馳星周

:遅すぎた直木賞受賞作。うまい。文句なくおもしろい。

読み終えたとき、犬が愛おしくて、犬を飼いたくてたまらなくなるのでご注意。

 

3.「流浪の月」  凪良ゆう

:いろいろ思う人はいるだろうけれどおもしろい、それが一番大事。

 

4.「灯台からの響き」  宮本輝

:宮本輝は毎年の恒例なので今年も入れておきます。新作が楽しみだ。

 

5.「破局」  遠野遙

:芥川賞受賞作。最近歳のせいか芥川賞受賞作をあまりおもしろいと感じられないのだが、これはおもしろく読めた。おかしい? 同時受賞の「首里の馬」よりおもしろかった。

 

番外.「終わった人」  内館牧子

:小説的にはB級だと思うが、会社をやめるにあたってぼくが描いていた安易な夢を砕いて覚悟を与えてくれたので選んだ。

 

【ノン・フィクション】

1.「生きづらさについて考える」、「サル化する世界」、「そのうちなんとかなるだろう」 他  

  内田樹

:なんとなく避けていた、と言うより食わず嫌いだった内田樹を読んでみたら病みつきになった。

知識・教養というようなものはもちろんのことだが、生きていく上での精神とか、決意とかいうようなことを教えられる。他の著書もまだまだ読みたい。

 

2.「FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略」 ベンジャミン・ハーディ

:会社をやめたら今まで以上に自分を律していかなければならないと思っていたが、意志とか決意というものだけでそれは出来ないことがわかった。そのためのやり方をこの本で教えられた。

 

3.「向田邦子 ベストエッセイ」

:向田のエッセイの中からいいものを集めたのではないか。もっともっと読みたかった。早くに亡くなられたのがほんとに残念だ。

 

4.「ケーキの切れない非行少年たち」  宮口幸治

:非行少年にはケーキを三等分出来ない子達がたくさんいるという。

非行に走るのは、環境とか性格だけが原因ではないということを初めて知った。

 

5. 「安倍晋三」大研究  望月衣朔子 佐々木芳郎他

:前に出た本だが、どのようにしてあのような人物が出来たのかということがわかるような気がした。人間は、なかなか変わらないものなのですね。

 

番外1.「街道をいく17 島原・天草の諸道」 司馬遼太郎

:熊本、天草を旅行するにあたって本棚から引っ張り出してきて読んだのだが、ざっと読んだだけでも天草の歴史というか空気のようなものを知ることができ、旅に深まりが出来た。

このシリーズがすばらしいことは週刊誌に連載時からわかっていたけど今回それがはっきりしたので、これからは普段から少しずつ読んでいこうと思う。

 

番外2.「お前の親になったる」  草刈健太郎

:妹を殺されたのに、自らの会社に犯罪者を雇い、親代わりになっておられる草刈さんの正直な告白。口で言うのは簡単だが、4にも出てくるような、一筋縄ではいかない子達を雇う苦労は筆舌に尽くせないものだと思う。

 

 去年の4月に39年勤めた会社をやめて、やりたかったことをやろうと決めたわけです。

絵を描くとか書道とかいろいろやりたかったのですが、たっぷり読書が出来るというのも一つの楽しみでした。

ところがこれがなかなかそうはいきませんでした。

下手をすると去年より少なかったぐらいで、100冊に届かなかった。

やっぱり時間がありすぎるのはよくないことがわかりました。

いや、実際には雑用が多くて、あまり時間はないのですが。

時間はいっぱいあると思うのがダメなんですね。

2021年は自由にいっぱい読もうと思います。