減損会計とは、固定資産の収益性が低下しその投資額の回収が見込めなくなった場合に貸借対照表上の帳簿価額を減額する会計処理です。
企業は設備投資を行うに当たって事業計画を策定します。
しかし、見込みが外れ当初予定していた利益が上げられなくなるとその固定資産に投下した資金の回収が困難になる
ケースが考えられます。
この場合、企業は帳簿価額を回収可能な価額まで減額し、その減少額を損失として計上することが求められます。
日本の以前の会計基準では、資産は基本的に取得原価で評価されるため、価値の下落が売却等で具現化しない限り表面化することはありませんでした。
しかしバブルの崩壊後、企業が資産に多額の含み損を抱えている点が問題視されたこともあり2006年3月期より減損会計が強制適用となりました。
また、これに先立ち特に含み損への懸念が大きかった不動産については2003年3月期より販売用不動産に強制評価減が義務化されたうえ、固定資産についても前倒しで実施する企業が多くみられました。
これにより不動産を中心に減損処理が先行して実施された結果、バブル崩壊の後始末に関わる処理は一段落しています。
減損会計は、不動産などの含み損だけでなく、継続して赤字となる事業拠点や将来の収益が見込めない工場設備などの不良資産にも適用されます。
今回の決算発表でもパイオニア(6773)が減損会計の適用により赤字決算となりました。
パイオニアはプラズマディスプレイ(PDP)を製造・販売しています。
パイオニアはPDPの赤字額を公表していませんが、競争激化などによる販売価格下落の影響を受けて赤字事業となっており、PDPが5割程度の売上げを占めるホームエレクトロニクス部門の営業損益は2006年3月期が352億円の赤字、
前2007年3月期が162億円の赤字、さらに今2008年3月期も80億円の赤字を見込んでいます。
このように当初見込みより収益の改善が遅れている状況を受けてパイオニアはPDPの生産設備に関する減損処理を前期に実施しました。
減損処理による損失は227億円で、これによりパイオニアの前期の当期純利益は会社計画の50億円の黒字予想から一転して67億円の赤字となりました。
減損会計は、将来の回収可能性の算定など不確定な部分などもあり的確に計上するのが難しい点もあります。
パイオニアも前期だけでなく前々期やその前の期にも減損損失を計上しています。
しかし、企業の姿をデータ上でより的確に捉えることができるようになったといった点で減損会計の導入は前進だとい
えます。
パイオニアのように数年に渡って赤字事業を抱えるケースでは多額の損失計上を求められることもあり注意が必要です。