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中谷良子の落書き帳

核武装・スパイ防止法の実現を

この失われた30年間で日本が失ったものは、計り知れない。このままでは、日本企業も、どんどん外資に乗っ取られてしまいます。昔から日立には支那人スパイが多数いると噂されていましたが、納得の内容。

中国政府によるウイグル人弾圧への憂慮から、欧州企業が新疆ウイグル自治区から撤退する動きが加速中。人権状況を顧みずウイグル関連事業を続ける日本企業は、国際社会で悪目立ちするばかりだ。本誌「コンプライアンス問題」取材班(ザイテン)

~中国のウイグル人虐殺、民族抹殺の実態~

中国北西部にある新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)で、中国政府がウイグル人に対し、強制労働などの人権侵害を行っているとされる問題。中国政府は一貫して関与を否定しているが、2021年から多くの外国企業が撤退し、22年には米国でウイグルからの産品輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法」が施行されるなど、波紋は大きく広がった。

ウイグル人が「綿摘み」などの強制労働に従事させられているとされる疑惑では、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが新疆綿の使用を疑われ、世界中から澈しい反発を受けたことは記憶に新しいが、ここにきてさらに新たな動きが出ている。

欧米各国の有力企業が続々とウイグルから撤退する中、日本企業は相変わらずウイグル強制労働との深い関与が指摘され、人権侵害を横目にビジネスを展開し続けている疑いが再燃。

経営層の「ビジネスと人権」や「人権デューディリジェンス(注意義務)」に関する問題意識の希薄さが浮き彫りになっているのだ。特に今回、ウイグル関係者や人権団体などから疑問視されているのが日立製作所とソニーの2社だ。

●現地事業所を開設か
この問題に取り組んでいるNP0法人日本ウイグル協会と国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、今年5月までに、日系企業など計41社を対象に、ウイグル強制労働問題との関係性について新たな調査を実施。日系企業30社を含む計34社がウイグル強制労働問題へ何らかの形で関与していることが確認された。

これは調査対象の83%にあたり、日本ウイグル協会などは「非常に高い割合で日本の市場とサプライチェーンが深刻な人権弾圧に加担していることを示唆するもので、対策が急務だ」と危機感を強めている。

調査は、企業間のグローバル商取引ネットワークにおけるリスク管理などの分析ソリューションを開発・提供する米企業Sayariのデータベースを活用。その上で、安全保障について分析を行う米国非営利シンクタンク・先進国防研究センターに対象企業とウイグル問題との関係性に関し調査依頼し、各企業のリスクを評価した。

この調査によれば、日立製作所の関連会社・日立建機が日本の大手企業で唯一、ウイグルの首都ウルムチに事業所を開設し、現地の鉱山開発会社に建設機械を販売しているという。また、日立建機のディーラーである会社(「Urumqi Zhongchen Weiye Construction Machinery Co.,Ltd.」)は、現代の奴隷制の研究で世界的に知られる英シェフィールド・ハラム大学の調査報告書で、強制労働への関与が指摘されている企業であるという。

大手建設機械メーカーの日立建機は、日立製作所が手掛けていた建設機械の製造部門が分社化するなどして発足、油圧ショベルを主力とする建設機械や鉱山向けの産業機器製造・販売などを行う。日本ではコマツに次いで業界2位、世界でも7位の事業規模を誇る。日立製作所が現在25%の株を保有する。

日本ウイグル協会などの質問に対し、日立製作所のHRDD(人権デューディリジェンス)推進事務局は事実関係について直接回答せず、「日立グループでは、人権デューディリジェンスの実施に取り組んでいる。仮に人権問題が確認されれば、調達先との取引の見直しを含めて真に対応していく」などと回答している。

日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長は「日立建機がウルムチで建設機械の販売など事業展開をしていることは間違いありません。中国の建設業は国営企業がほほ独占していて、ウイグルでは新疆生産建設兵団という軍事組織があり、この組織はウイグル人への深刻な人権侵害に関与したとして、米国から制裁を受けています。

どこの企業とどのような事業を展開しているのか、日立が調査を尽くし、人権弾圧や強制労働に一切手を貸していないことをオープンにできないならば、撤退すべきです」と話している。

●矛盾する2つの回答
一方、ソニーは、米国が「ウィグル強制労働防止法」に基づき、制裁対象にしている中国企業と取引関係にあることが確認された。

ソニーは日本ウイグル協会などが21年に公表した調査結果でも、中国政府が新疆ウイグル自治区で行なっている強制労働にサプライチェーンを通じて関与している可能性を指摘されていた。この時のソニー側は「調査の結果、新疆ウイグル自治区に直接取引先は確認されなかった」という趣旨の説明をしている。

今回の調査でソニーと取引関係が確認されたのは、3次サプライヤー(下請け)以降の7事業所。日本ウイグル協会などによると、このうちの4社(「Zijin Mining Group[Shandong Gold Mining Company | [Zhaojin Mining Industry J [Lingbao Gold Group」)は、ウイグルで採掘された金を直接調達している事業所であるといい、1社(「Zijin Mining Group」)はウイグルの人権弾圧や強制労働への加担を理由に米国が輸入規制対象にしている企業だという。

日本ウイグル協会などの事実確認の質問に対してソニーは、「当社の記録では、お問い合わせの企業の何れとも取引はありません」と回答し、当該4社を含む7事業所との取引関係を明確に否定。ところが、ソニーが米国証券取引委員会に20年に提出した年次報告書(「Form 20-F」)では、4社はソニーの取引先として記載されていることも確認された。

米国証券取引委員会に対してはソニー自らが作成し、当時の執行役専務・神戸司郎の名を記載した年次報告書の中で4社との取引を認める一方で、日本国内に向けてはサステナビリティ推進部門長の鶴田健志が4社との取引関係を否定するというダブルススタンダード。

当時の神戸専務はサステナビリティ担当役員でもあり、現場責任者であるサステナビリティ部門長が担当役員の決裁文書を堂々と否定する前代未聞の“珍事”だ。

この矛盾について日本ウイグル協会などは重ねてソニーに質問したが、従来通りの回答を繰り返すばかりだったという。

「ソニーの回答は用意していたテンプレートをそのまま出したような内容であり、全く誠意が感じられません。取引していないというのであれば、米国証券取引委員会の情報が嘘という話になる。ソニーが嘘を米国に報告したということになり、自社が提出した公式資料を否定するような回答は理解に苦しみます」(アフメット会長)

●許されない”人権ウォッシュ”
ウイグル人の人権問題を巡っては、18年に国連人種差別撤廃委員会が100万人のウイグル人らが慾意的に拘束されていると報告。

22年には国連人権高等弁務官事務所がウイグル人らに対する中国の行為は「人道に対する罪を含む、国際犯罪」の可能性があるとの報告書を出している。

これに素早く反応したのが欧米諸国だ。米国で22年に「ウイグル強制労働防止法」が施行されたのに続き、24年には欧州議会などがウイグル問題を念頭に、強制労働で生産された製品の流通や輸入を禁止する規制案で暫定合意した。

同年には欧州化学最大手の独BASFやフォルクスワーゲンがウイグル強制労働問題をめぐり現地事業から撤退している。

こうした動きとは別に、11年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されたのを契機に、企業側も人権問題への取り組みが求められてきた。

特に欧州では、人権デューディリジェンスの実施を法的に義務付ける動きが進む。ドイツでは21年にサプライチエーン・デューディリジェンス法が成立、23年に施行された。
一定規模以上の企業に対し、自社のサプライチェーンで人権や環境分野に悪影響を及ぼさないよう注意義務を課す。24年にはEUが「企業持続可能性デューディリジェンス指令」を施行している。

ヒューマンライツ・ナウ副理事長で「ビジネスと人権』(岩波書店)の著者がある伊藤和子弁護士は、日本への影響について、こう話す。

「日本には欧州のような人権デュ1ディリジェンス法がありません。とはいえ、日立もソニーも海外でビジネスをしているわけで、これは両社にとってはリスクになりうるでしょう。欧州ではEUの指令が段階的に施行されることになっていますが、施行された場合、日本企業でも欧州企業と取引がある一定以上の規模の企業には適用されます。その企業が指令に違反した場合、民事責任を問われますし、各国監督官庁から高額の罰金などのペナルティを受ける可能性もあります。またジェノサイドや強制労働への加担という刑事責任も想定できるでしょう」

本誌の取材に対し、日立製作所は日本ウイグル協会に対応した部署とは異なる「グローバルコミュニケーション本部」が、「日立建機およびそのグループ会社は当該地域に拠点を有しておらず、当該地域における販売代理店においてていないと把握」と回答。

ソニーは「これまで確認している限り、ウイグル自治区の企業からの調達取引はありません」とする一方、米証券取引委員会提出資料との矛盾については答えなかった。ここで際立つのは、日立にせよ、ソニーにせよ、ウイグル問題には頑なに口を閉ざす一方で、口を揃えるかのように「人権DD」を強調し、表向きは企業を挙げて人権問題について積極的に取り組んでいる姿勢をアピールしていることだ。

この点について、伊藤弁護士は手厳しい。

「中身が全くないわけです。表面上だけを取り繕っているとすると、それはただのPRでしかない。結局、グリーンウォッシュ(環境に配慮しているように見せかけるPRやマーケティング手法)と同じ構図です。人権について何も取り組んでいないのに、あたかも何か取り組んでいるかのように消費者や社会を欺いて、結局は人権侵害に加担しているということであれば、より罪深いですし、よりタチが悪いと言えます」

欧米企業が「ビジネスと人権」に敏感になる中、“人権ウォッシユ”を続ける日立とソニー。自浄努力が期待できない以上、欺瞞的な態度を改めてもらうには、高額制裁金という外圧を期待するしかないのか。
(敬称一部略)


日立製作所・執行役社長兼CEOの「徳永」(左)と、ソニーグループ執行役社長兼CEOの十時裕替(右)