★意見広告を出すほど支持する死刑制度★
～8万ドルの私費を投じて新聞に掲載～
死刑制度が事実上廃止となっている州が増えている米国だが、トランプはその流れに逆らうように死刑制度を支持している。
●廃止されている州での復活を求める
州単位で死刑廃止の流れが加速しているといわれるアメリカ。そのなかで、かねてより強硬な死刑存続派として知られるのがトランプ。
死刑制度を肯定する彼の大胆な言動は、かなり前から世間の耳目を集めてきた。
1989年にニューヨークのセントラルパークで残虐な強姦事件が発生した際、トランプは死刑が事実上廃止されているニューヨーク州での死刑復活を求める全面意見広告を、8万ドル以上の私費を投じて新聞4紙に掲載。
「死刑制度を再開しよう、そうすれば彼ら(逮捕されていた5人の容疑者)を処刑できる」と主張。
この意見広告に関して「憎むべきものは罪」と否定的に発言した当時のニューヨーク市長、エド・コッシ氏に対してトランプは「わたしは罪より犯人を憎む。犯罪者には社会への攻撃を始めるときが人権の終わるときだ」と反論。
死刑制度の必要性を重ねて訴えた。
●冤罪確定後も広告について謝罪する気なし
ところが、2002年に刑務所内で真犯人を名乗る男が自供し、長らく犯人とされていた5人の冤罪が法的に確定。
DNAや指紋が照合しなかったにもかかわらず、自白だけで刑を確定した捜査方法が非難された。
5人の弁護士はトランプへ謝罪を要求したが、トランプは「謝罪する気はない。なぜなら彼らは自白した。今更やっていないと言い出しても私は信じない」と断固拒否。
これに対し、トランプが所有するマンハッタンのトランプ・タワー前で、複数の人権団体が大規模な抗議デモを展開。
「トランプは人種差別主義者だ」とシュプレヒコールをあげるなど、トランプへの批判が一部で高まった。ちなみに、一連の事件をまとめたドキュメンタリー映画『セントラルパークの5人』が2012年に公開。
冤罪と人種差別に切り込んだ秀作として同年のカンヌ国際映画祭へも招待されている。
これ以外にも、2014年にニューヨークの路上で複数の警官にねじ伏せられた黒人容疑者が窒息死した際、トランプは「白人や警官に殺される黒人よりも、黒人に殺される市民のほうが遥かに多い」と持論を展開。
さらに大統領選立候補後の2016年にも「私が当選して最初にやることのひとつは、強い大統領令に署名すること。警官殺しは誰でも死刑に処する」と発言し、死刑制度に賛成であることの意向を示している。
★死刑制度に関する主な発言★
●死刑制度を再開しよう、そうすれば彼ら(強姦事件で逮捕されていた5人の容疑者)を処刑できる(1989年に自ら出稿した意見広告にて)
●犯罪者には社会への攻撃を始めるときが人権の終わるときだと教えるべき(トランプの意見広告を批判したニューヨーク市長に対する反論)
●「私が当選して最初にやることのひとつは、強い大統領令に署名すること。警官殺しは誰でも死刑に処する」(2016年ニューハンプシャー州で行われた会合にて)
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