中国政治の「しきたり」に従い、習も次期首相候補で経済運営を担当するとみられる李克強も、自前の経済政策を語っていない。
ただ、不動産開発業者に対して引き締め政策を取ることは考えられる。
アメリカで金融業界への反発が高まっているように、中国の都市部では富める開発業者に庶民の怒りが集中しているからだ。
13年3月に国家主席に就任し、政府と党と軍を指揮下に置く習が、この3つの組織をどの程度実質的に支配するか。
ここに、今後の中国を読み解くカギがある。
習が予想以上に強固にこの3つの権力機関を掌握できれば、国内的にも対外的にも早い段階で自らのカラーを打ち出すことが考えられる。
前任者と良好な関係を保つため、就任後数年は独自の外交路線を打ち出すことを控えるだろう。
ただ、メキシコ訪問時の発言を除けば、習は公の場で外交論を語っていない。
胡も数年待ってから「平和的台頭」というスローガンを前面に出した。
一方で中国政府がASEAN(東南アジア諸国連合)の「弱体化」を利用して、領有権を主張している南シナ海でさらに大胆な行動に出る可能性は高い。
12年にASEANの議長国になるのはカンボジアだ。
カンボジアは南シナ海の領有権問題は大きな関心事ではないと明言している。
「主要な貿易相手国である中国を失望させまいとするだろう」
と、アジアの安全保障問題の専門家であるパトリック・クローニンは言う。
カンボジアに続いてASEANの議長国となるのはブルネイで、その次はビルマ(ミャンマー)だ。
こうした国力の弱い国々が議長国となることで、ASEANの団結は弱まる可能性がある。
その結果、対ASEAN交渉における中国の立場は有利になる。
12年は中国だけでなく、台湾とアメリカにとっても政権移行の年だ。
江沢民は台湾の再統合を目指したが果たせなかった。
胡は再統合にこだわらず、台湾との関係改善に努めて成功した。
49年以降、現在の総統である馬英九ほど、密接な対中関係を実現した台湾の指導者はい
ない。
12年1月の台湾総統選に向けて、馬は何とか支持率で首位に立っている。
馬が再選されれば、習は台湾再統合の条件をまとめるため指導力を発揮するだろう、と安全保障問題の専門家であるクローニンはみている。
特別行政区として、経済活動や一部政治活動に自由を認めた香港がその先例になるかもしれない。
★ユーロ危機救済の皮算用★
アメリカや日本にとって最大の懸念は、指導者となった習が軍部に対する党の優位をあらためて示すため、外交で力を誇示しようとすることだ。
日本は特に微妙な立場になる。
政権を握った瞬間から、習は国内世論と政府内の他派閥から圧力がかかり、弱い指導者という印象を与えるわけにはいかなくなる。
「アメリカに対してはある程度柔軟な姿勢を取る余地がある」と、ある中国人研究者は言う。
「だが、日本に対してはそうはいかない。」
アジアから外に目を向ければ、ヨーロッパでは債務危機が悪化している。
危機がさらに悪化すれば、08年の金融危機のように中国も打撃を受けかねない。
08年には中国は財政的に余裕があり、金融緩和と景気刺激策で対処できたが、今回はインフレ再燃の恐れがある。
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