TPPアメリカの本音と思惑① | 中谷良子の落書き帳

中谷良子の落書き帳

核武装・スパイ防止法の実現を

国内の逆風をはねのけてでもTPPを推進したいオバマ政権。
中国も視野に入れるその隠された戦略とは


意外かもしれないが、米政府が世界で最も熱心に推進している一方で、アメリカ国内ではTPPはまったくと言っていいほど話題に上っていない。

アメリカを含む9カ国が既に「次世代」の通商協定に向けた大枠の合意に達しており、12年末までの最終合意成立を目指す。

11月12日、バラク・オバマ大統領がホノルルでそう表現するまで、アメリカ人の大半は「TPP」という言葉すら聞いたことがなかった。

国内的な知名度が皆無な一方で、この10年間対テロ戦争と中東情勢に目を奪われてアジアや中南米で出遅れた米政府は、いまさらながらこの地域に焦点を移している。

アメリカ政府にとって、TPP(環太平洋経済連携協定)失地回復のための足掛かりの1つだ。
その戦略は、中国を「外圧」で変えようとする側面も見え隠れするほど、野心的だ。

一方で、国力低下にあえぐアメリカがアジア市場に活路を求めている以上、交渉での立場は若干弱くなる。
米政府は自国の要求をかつてのようにごり押しできるのか。

そして、国内の反対や参加国との隔たりを乗り越えられるのか。
米政府がTPP計画に踏み出したのは09年12月。

このとき、ロン・カーク通商代表が議会の指導者に書簡を送り、

『これまで以上に雇用を重視し、アメリカの競争力を強化し、通商協定の恩恵がすべての国民に行き渡るようにする』
と表明していた。

それなのになぜ、これまでTPPはアメリカ国内で注目されてこなかったのか。
1つには、交渉参加国が貿易高の小さな国ばかりだったからだ(日本が参加すれば事情は大きく変わる)

アメリカ以外の8ヵ国

ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、ペルー、ベトナム

合わせても、アメリカ貿易高の5~6%でしかない。
これでは、議会や国民に対して、TPPでレベルの高い合意に達することがいかに重要かと納得させるのは難しい。
もっとも、米政府としてはTPPを土台に、日本やカナダ、韓国、ブラジル、さらに将来的には中国などの主要貿易国も参加する大掛かりな通商協定を打ち立てたいと考えている。

★「WTO2・0」への道?★

アメリカでTPPの影が薄い理由のもう1つは、通商協定そのものが一般的に不人気だという点にある。
労働組合や世論全般、そしてかなりの議員が通商協定に拒絶反応を示しやすい。

ジョージ・W・ブッシュ前大統領時代にアメリカがコロンビア、パナマ、韓国とそれぞれ2国間で署名した3つの自由貿易協定(FTA)は最近になってようやく議会で批准された。

自動車産業の労働組合や議員の反発がそれだけ強かったのだ。
オープンな通商協定を結べば双方の国に大きな経済的メリットがあると、ブッシュもビル・クリントン元大統領も国民に納得させようとした。

相手国にアメリカ市場を開放し、それと引き換えにアメリカ企業のために相手国の市場を解放させる。
そうすれば、輸入品の価格が安くなる上、輸出産業に雇用が創出される、という筋書きだった。

そのもくろみは大きく外れた。
問題は、近年アメリカの雇用状況が悪化していることだ。

製造業を中心に、中流層の雇用が安定しない。
特に08年のリーマン・ショック以降、失業率は10%近くまで上昇し、その後も9%台で高止まりしている。

「上位1%」の高所得層がアメリカ全体の所得の4分の1を得るような社会になった。
四分の1という数字は、25年前の約2倍だ。

「ウォール街占拠デモ」を全米に拡大させた怒りの大きな要因は、グローバル化が中流層を痛めつけているという認識だ。
単純化すれば、自由貿易は大企業を潤わせ、中流層を苦しめるというイメージが定着している。

こういう状況下で声高に訴えることは、政治家にとって得策ではない。
では、オバマはなぜ、猛烈な逆風の中でしかも、再選を目指す大統領選を来年に控えたこの時期にTPPを推進するのか。

理由は複数ある。

第一に、オバマ自身も述べているように、アジアは「動きがある場所」だからだ。
ヨーロッパが経済危機に直面し、アメリカも景気が低迷し続ける恐れがある以上、アメリカ企業としては成長著しいアジア市場への参入を最大限拡大したい。

アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁によれば、アジア・太平洋地域の途上国の経済成長率は、今年も来年も共に7.5%に達する見通しだ。

世界を見渡しても、アジアほど成長見通しが明るい地域はない。
向こう5年間でアメリカの輸出を倍増させるというオバマの公約を達成しようと思えば、拡大するアジアの中流層の消費に大きく頼らざるを得ない。

米政府がアジア市場をこじ開けることに熱心な理由は、ここにある。
ただし、協定の内容を公平なものにし、しかもアメリカの雇用が破壊されるという印象を世論に与えないようにしなくてはならない。

オバマは、韓国とのFTAを労働組合が支持している事を強調。
平等な競争関係さえ整えば、アメリカの企業や労働者は十分に競争力を発揮できると、12日にハワイでの演説で述べた。

『誰もが共通のルールの下でプレーするシステムを築ければ、アメリカの企業と労働者は大きな成功を収める・・・ほかの国々が公正にプレーする限り、アメリカは市場を閉ざさない』

アメリカがTPPを推進する第二の理由は、(第一の理由とも関係しているが)この10年間、アメリカがイラクとアフガニスタンでの戦争に力を割かれるあまり、アジアで存在感を弱めてしまったという認識にある。

安全保障の面でも、経済の面でも、アジア重視の姿勢を再び強める必要があると、オバマ政権はようやく認識し始めた。
ヒラリー・クリントン国務長官は外交専門誌フォーリン・ポリシーの11月号に「アメリカの太平洋の世紀」と題した論文を寄稿し、政権の方針を詳しく説明した。

シーレーン(海上交通路)の確保、領土紛争の仲裁、海賊行為やテロなど「非通常型」の脅威との戦いなど、オバマ政権は安全保障の側面に強い関心を寄せているが、この論文では経済的な側面も強調している。

『アジアが開かれれば、投資、貿易、さらに最先端技術へのアクセスといった面で、アメリカにとってかつてないチャンスが開ける』

と、クリントンは書いている。

『アメリカの景気回復は、輸出の堅調さと、アジアの巨大な消費者基盤の拡大をアメリカ企業が生かせるかどうかに懸かっている』

おそらく中国を念頭に、クリントンは「開放性と自由と透明性と公正さ」を備えた仕組みの重要性を指摘。
また、この地域で領土紛争の当事国になっておらず、過去60年にわたり地域の安定に尽くしてきた唯一の大国として、アメリカが大きな役割を果たせると主張している。

TPPは、オバマ政権のアジア戦略の経済面と安全保障面が交差する政策テーマだ。
アメリカは通常の通商協定で満足せず、もっと広範なルールを作ろうとしているように見える。

「WTO(世界貿易機関)2・0」とでも呼ぶべき本格的な仕組みを目指しているのかもしれない。
ADBのイワン・アジズ地域経済統合室長は、TPPは「国境の向こう側」の問題を正す「A級」の合意だと言う。

例えばTPPには、環境や労働規制の調整、知的財産の保護、政府調達法の共通化など、外国企業の待遇を平等に確保するルールが盛り込まれる。

一方で国有企業は低コストで資金調達ができたり、市場が保護されている場合が多いから、そこにもルールが設けられるはずだ。

『WTO(世界貿易機関)とでも呼ぶべき本格的な仕組みを』

~デービッド・ピリング(英フィナンシャル・タイムズ紙アジアエディター)~

★林潤、医療から見るTPPの危険性など★


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