その相手は1つ年上の大野智。
入学式の日。
遅れてきた大野先輩は
元々たれ目であろう目をさらに垂らして
ふわふわオーラを纏って現れた。
先生に怒られているのにふにゃっと笑ってその場を切り抜ける。
俺はそんな先輩を見て惚れた。
あの笑顔は反則だった。
-それから1年。
俺は高2
大野先輩は高3になった。
ある日
廊下でぶつかったことがあった。
「ごめんね?大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
俺は先輩だと気づいて赤面した。
大野先輩は眉毛を下げて心配してくれた。
「頭良さそうだね」
またふにゃっと笑って落とした教科書を渡された。
「そ、そんなことないです…」
「そうなの?頑張れえ」
ふわっと笑って頭を優しく撫でられた。
今すぐ天に召してもいいと
思った瞬間だった。
この1年間で大野先輩と話したのはこの1回だけだ。
遠くで見てる
それだけで幸せだった。
好きだ
そう伝えたいけど伝えられない。
そのもどかしさが歯痒い。
そんな思いも
あと少し。
俺はこの先どうする?
大野先輩が卒業するまであと1年だ。
- END -