「…和、愛してる」
「…ん、」
翔さんはそう言っていつも俺を抱くんだ。
でも
その言葉に感情なんてない。
空っぽの言葉だ。
ねえ、翔さん。
俺がその赤い印に気づかないとでも思ってるの?
その汚い指で俺に触らないで。
翔さんの"愛してる"は腐ってる。
「ねぇ、にの。いつまで翔さんと付き合ってんの?」
「ん?…分かんない。あっちから別れ話されるの待つかも。」
「なんで?」
「だって、こっちのこと気づいてないんだもん。自分だけだと思ってる。」
「馬鹿だな、翔さん」
「…こんな話、どうでもいいよ。潤くん」
「わりぃ…」
そう言って薄暗いベットの上に2人は沈んだ。
きっと最後まで翔さんは気づかない。
俺の首筋にあるその痕に。
「ねえ、和。別れよ」
「え?」
突然告げられ言葉に驚いたふり。
こうなることくらい予測済み。
その赤い印の人でしょ?
翔さんから発せられた言葉に何の感情も抱かなかった。
「なんで?」
「他に、好きな人が出来たんだ」
ほらね。
「ごめん…」
何それ。
お涙ちょうだいとでもいいたいの?
「…っ」
「泣くなよ…」
涙流せばそうやって最後は優しいふりするんだ。
あんたがここに置いていくものはあんたのいらないもの。
そんなの俺だっていらない。
あんたの情がなくなる前にとっくに俺の情なんて消えていた。
置いていかれても困るだけだ。
モノも思い出も全部。
持って行ってくれ。
「翔ちゃんと別れたの?」
「なんで知ってるんですか、大野さん」
「え、ほんとに?勘で言ったんだけど」
「…さすがですね」
「そうかな?へへ」
「褒めてません。」
「寂しそうだね、にの」
ごめんね、大野さん。
寂しくなんて全然ないんだ。
そう見せてるだけ。
最初からやり直せばこんなことにならなかったのかな。
なんて嘘を着て歩くんだ。
帰り道。
ただの街の街灯がいつもより綺麗に見えた。
こんなことを繰り返して何回目だろうか。
ゲームが終わる度に街はだんだん綺麗に輝いていく気がする。それと同時に俺は汚れていく。
周りに知れたらどんな反応されるだろうか。
でも、この生き方しか知らないんだ。
もう戻ることなんてできない。
この孤独に寂しいふりして涙流せば…
「…にの?どうしたの?」
ほらね、また来た。
次の世界。
「…っ、相葉さん」
-END-