君はいつも、いつも。
手を振ってくれた。
大きな鳥かごの様な病院の窓から。
でも
そんな君がある日。
姿を見せなかった。
休みの日。
たまたま通った時ですら
手を振ってくれた君が。
いなくなった。
それからずっと。
君は姿を見せなった。
それなのに俺は
閉まった窓がいつか開くのではないかと
見続けた。
ひらりと風にカーテンが舞ってる日。
そこから聞こえるのは、
大人の声。子供の声。
君は本当にもう。
そこにはいないんだね。
名前も知らない君に。
君がなくてはならない存在だと気づいたのは
君が居なくなっちゃってからだった。
元気でね。
せめて名前だけでも知りたかった。
-END -