🎾テニスDEポン エピソード38



「何歳から競技?」

ジュニアの保護者の方から、よく聞かれる質問です。

年少から?
年中から?
年長から?
それとも小学校1年生から?

もちろん年齢はひとつの目安です。

でも、僕はジュニアの指導をしていて、「何歳から競技に進むか?」よりも、「どんな子が競技に進むといいのか?」のほうが大切なのではないかと思っています。

まず、「テニスを始めること」と「競技テニスを始めること」は同じではありません。

年少でもテニスは始められます。

走る、跳ぶ、投げる、捕る、ボールを追いかける、ラケットでボールに触る。

こうした経験も立派なテニスの育成です。

海外のジュニアプログラムでも、幼児期は遊びや基礎的な運動能力を大切にしながら、少しずつテニスにつなげていく考え方があります。

日本のPLAY & STAYでも、子どもの発達段階に合わせてコートやボールを変えながら、ラリーやゲームにつなげていきます。

つまり、「早く始める」ことと「早く競技化する」ことは別なのです。

では、競技に進むタイミングはいつなのか?

僕なら、年齢だけでは決めません。

年長だから競技。
小1だから育成。

という決め方もしません。

僕がコーチとして見たいのは、その子が競技をやってみたいと思っているかどうかです。

例えば、コーチのアドバイスを理解できるか。

「もう少し前で打ってみよう」
「打ったら戻ろう」
「相手を見てから動こう」

と言ったとき、その意味を理解しようとする。

そして、次のボールでやってみようとする。

一度でできなくても構いません。

「もう一回やってみよう」

となることが大切です。

そして、失敗したときにどうするかも大切です。

試合では、ミスもします。
負けることもあります。

悔しくて泣くこともあるでしょう。

でも、その後に「もう一回やりたい」「次は勝ちたい」「もっと上手くなりたい」と思えるか。

僕は、そこに競技への可能性があると思っています。

もちろん、ものすごく負けず嫌いである必要はありません。

「もっと上手くなりたい」という気持ちがあれば、それも立派な競技への入口です。

そして、僕が特に大切だと思うのが、本人がテニスをやりたいと思っていること。

親が「この子には才能がある」と思っていても、本人がやりたくないのであれば、無理に競技へ進ませる必要はありません。

逆に、「試合に出たい」「もっと上手くなりたい」と本人が言い始めたら、その気持ちは大切にしたい。

そこで活用したいのが、エンジョイ大会です。

いきなり本格的な大会に出るのではなく、まず試合を経験する。

ポイントを数える。
相手と戦う。
勝つ。
負ける。
喜ぶ。
悔しがる。

そして、「また試合したい」と思えるか。

エンジョイ大会は、楽しむ場であると同時に、その子が競技に興味を持っているのかを知る機会にもなると思います。

試合中にコーチのアドバイスを思い出そうとする。

相手を見てプレーする。

ミスしても次のポイントへ切り替える。

負けても「次はどうしたら勝てる?」と考える。

試合が終わって「もう一回やりたい」と言う。

こうした姿が見えてきたら、競技の世界を少し深く経験させてみてもいいのではないでしょうか。

反対に、まだ「友達とテニスするのが楽しい」「ボールを打つのが楽しい」という段階でも、もちろんいい。

子どもの成長は、それぞれ違います。

だから僕は、「何歳から競技ですか?」と聞かれても、年齢だけでは答えません。

その子を見ます。
プレーを見ます。
話を聞きます。

そして、「今、この子には何が必要なのか?」を考えます。

僕は、「子どもを競技に合わせる」のではなく、「子どもに合わせて競技を与える」ことが大切だと思っています。

年少なら、まずテニスで遊ぶ。

年中なら、運動能力とボール遊びを楽しむ。

年長なら、ラリーやゲームを経験する。

小1なら、ゲームをしながらテニスを理解していく。

そして、その中から「もっとやりたい」という気持ちが生まれてきたら、競技としての育成を少しずつ強くしていく。

早く競技に入れることが目的ではありません。

その子がテニスを好きなまま、「もっとやりたい」と思えるタイミングで次のステージへ進ませてあげる。

そのタイミングを見つけること。

それも、コーチの大切な仕事のひとつだと思います。

テニスDEポン。

また次回!