〜勝たせるより、大事なこと〜

今日はテニスの話をしません。

正確に言うと、「テニスが上手くなる話」はしません。

実は僕には、「もうテニスコーチを辞めようかな」

本気でそう思った時期がありました。

長くコートに立ち、たくさんの生徒さんと向き合ってきたはずなのに、ある時から、自分がやっていることが正しいのか分からなくなったんです。

テニスが「上手くなる世界」にいた頃の自分

昔の僕は、いわゆる“正しいコーチ”でした。

ちゃんとしたフォーム。

理論に基づいた動き。

考えてプレーできる頭。

それができるようになることこそが、テニスを教える意味だと思っていました。

だから、できない生徒さんがいると

「まだ理解できていないな」

「練習量が足りないな」

そんなふうに考えていました。

今振り返ると、めちゃくちゃテニス脳で、

めちゃくちゃ不親切なコーチだったと思います。

「できる側」の論理でしか、テニスを見ていなかったんですよね。

違和感の始まり

ある時から、おかしなことが起き始めました。

✔ 技術は確実に良くなっている

✔ ラリーも続くようになっている

✔ 試合でも勝てるようになっている

それなのに、生徒さんが辞めていく。

子どもも。大人も。親御さんも。

「テニスって、上手くなったら楽しいんじゃなかったっけ?」

この疑問が、ずっと頭から離れませんでした。教えたことは間違っていないはずなのに、結果だけを見ると、誰かの大事な時間を奪っているような感覚さえありました。

転機になった、たった一人の生徒

そんな時に出会った、ある生徒さんがいました。

正直に言うと、技術的には全然でした。

フォームもバラバラ。ミスも多い。いわゆる「上手い選手」ではありません。

でも、ある日のレッスン終わりに、その生徒さんがポロっと言ったんです。

「今日、テニス楽しかったです」

その一言を聞いた瞬間、僕は何も言えなくなりました。上手くなったわけでもない。試合に勝ったわけでもない。

それでも、

「楽しかった」と言われた。

あれ?

じゃあ今まで僕が必死に教えてきた “正しさ”って、何だったんだろう。

価値観がひっくり返った瞬間

そこから、僕の中で少しずつ価値観が変わり始めました。

「正解を教える」より「感じてもらうこと」。

「直す」より「引き出すこと」。

「勝たせる」より「続けたくなること」。

テニスって、ラケットの振り方や戦術以前に、その人の人生の中にあるものなんだと。

上手くなることが目的じゃなくて、テニスがその人の人生を

少し前向きにしてくれる存在であってほしい。そう思うようになりました。

今の指導スタイルへ

この考え方が、今の僕の指導スタイル、

そして K3アトリビューション の原点です。

人は、「教えられて変わる」のではなく、「自分で気づいた時」に変わる。

だから僕は、

答えを押し付けるのではなく、その人自身が答えを見つけるための

環境を作るコーチでありたいと思っています。


今、これを読んでいるあなたへ

もし今、

・伸び悩んでいる

・周りと比べて落ち込んでいる

・「自分は向いていないのかも」と思っている

そんな気持ちがあるなら、

それはあなたの才能の問題じゃありません。

やり方が、

あなたに合っていないだけです。

テニスは、

もっと自由で

もっと楽しくて

もっと優しいスポーツです。


最後に

これからも、

技術の話はします。

理論の話もします。

でも、僕の中で一番大切なのは、

「テニスで人生がちょっと良くなる人を増やしたい」

それだけです。

この想いが、

誰かの背中をそっと押せたなら、

コーチとして、これ以上嬉しいことはありません。