12月某日 | rhのブログ

12月某日

久しぶりに劇場へ観劇に出かけた。
入場待ちの客層を見ると女性が圧倒的に多いものの、年齢層が比較的近いせいか、前回のようなアウェイ感はない。

入場しようと列に並び、受付の人にチケットを見せると、なぜか僕だけが呼び止められ、列から外れてしばらく待機することに。
「何かやらかしたか?」と一瞬よぎったが、そんなはずもない。

ほどなくして別の係の人がやって来て、事情を説明してくれた。
どうやら僕の席の近くに車椅子の方がいるらしく、視界が遮られる可能性があるため、座席を変更するとのことだった。

「ああ、そうか。あの子が来るんだね」
遮られても別に構わないよ、と思いかけたものの、視界云々は建前かもしれないと察し、提案に従うことにした。
変更先の座席は元の場所より中央寄りで、ずっと見やすい位置だった。むしろ、ありがとう。

今回の舞台は通常とは少し趣が違う。
俳優たちはストーリーを知らされないまま、その場で渡された台本を本読みし、それを観客に披露するという斬新な形式だった。

そうして始まった物語は、荒唐無稽でありながらも見せ場がきちんと用意されていて、
推しの俳優さんが一人で語る場面では、観客全員の視線を一身に集めるような力があった。
なんて吸引力。
即興で、ここまでの表現ができるなんて。
やはり、この人は凄い。

公演が終わり、観客が帰っていく中、
僕は我慢できずに車椅子の子へ話しかけに行ってしまった。

「あなたのインスタ、いつも楽しみにしてるよ」
「あなたのママのお芝居、本当に素晴らしいよ」

少し興奮しながらそう伝えると、
「ありがとうございます」と、とても丁寧に返してくれた。

その落ち着いた様子と、自分の高ぶりとのギャップに、少し恥ずかしさを覚えつつ、その場を後にした。
見知らぬおじさんに突然話しかけられて、大丈夫だっただろうか。
あの子が、少しでも嫌な気持ちになっていなければいいのだけれど。


そうだ追記。
天上天下唯我独尊は、てんじょうてん「げ」ゆいがどくそん、と読みます。仏教用語なんです。