二十四節気と令和5年3月28日民二第538号と所有権更正登記について☆ | 司法書士講師・三枝りょうのブログ

司法書士講師・三枝りょうのブログ

司法書士試験の受験情報を中心に、日々考えたことを書き連ねていきます。

皆さんこんにちは、司法書士講師の三枝りょうです。

 

本日は、二十四節気の霜降です。そうこう。
東京も一気に秋の気配です。


法定相続分での相続登記がされている場合において、「他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記」をするときは、所有権の更正の登記によることができる。
当該更正登記は、登記権利者が単独で申請することができるものとする。

以上、令5.3.28民二538号です。
令和5年3月28日民二第538号先例です。

令和6年4月1日より相続登記申請義務化が始まります。
先んじて、とりあえず法定相続分でいいから、相続登記をワッショイワッショイ入れてくださいと。
後からその修正はまあまあ簡便にやらせてあげるから、という意味か否かは不明ですが、そうとも取れなくはない先例です。


先例のイメージはこんな感じのようです。
つまり「おとっつぁんX」が死亡して、その相続人が
妻・甲某
長男・乙某
次男・丙某
です。法定相続分による相続登記をしましたと。

その後、次男・丙某が適法に相続放棄をしました。
結果、Xの相続人は、相続開始時、つまり、おとっつぁんが死んだときから「甲某と乙某」だけだった扱いになります。民法上は。

そうすると上掲画像の登記は「ハナから誤った登記」ということになります。
したがって、「甲某2分の1、乙某2分1」とする更正登記をしましょうと。

当該更正登記を、丙某の関与なしに、乙某からの申請ですることができる。
このことを「登記権利者が単独で申請することができるものとする。」と先例は言っています。

たとえば。
上掲画像の登記は、おそらく相続人甲乙丙から申請したものと思われます。

が、しかし、時に、おとっつぁんXに対してカネを貸し付けていたY、つまり債権者Yがいたりすると、Yが「代位の登記」という手法によって法定相続分の登記を申請することができたりします。
そのように「代位の登記により法定相続分の登記がされた後、丙某が適法に相続放棄をした」場合の登記について疑問が生じます。

①このようなケースでも、登記権利者(乙某)が、単独で更正登記を申請することができるのか。
②できるとして、代位債権者Yの承諾を証する情報(承諾書)は必要なのか。
③必要だとして、Yが任意に承諾書を交付してくれない場合、更正登記に代えて移転登記によらざるを得ないのか。
④移転登記でやるとして登記原因は何なのか。「年月日(相続放棄の申述が受理された年月日)相続放棄」でいいのか。
⑤「真正な登記名義の回復」を登記原因とする場合、結局、共同申請でやることになるのか。

我々予備校講師は、承諾書がなければ「その者に対抗することができる裁判があったことを証する情報」を提供ればいい的なことを言います。
が、しかし、裁判手続きは言うほど簡単ではありません。
なので、「承諾更正でできないなら移転で」と考えるのは実務家としてはフツーです。

私が何を言いたいかと申しますと。
本先例は、疑問がいっぱいです。

おそらく
①できる。
②必要。
③移転登記による。
④ビミョー。
⑤「真名回復」なら共同申請だろうがそもそもこれOKかビミョー。
だと思われます。

①②は堅いです。
③以降は知っている人は教えてください。
 

【チャンネル登録お願いします!】

 

 

【PR】

合格までの最短ルート
アガルートアカデミー

 

【PR】
「今,覚えたい」を持ち運ぶ
プチまな