向かうところ敵なしと管轄外本店移転と世田谷出張所について☆ | 司法書士講師・三枝りょうのブログ

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司法書士試験の受験情報を中心に、日々考えたことを書き連ねていきます。

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皆さんこんにちは,司法書士講師の三枝りょうです。

 

昨日のような記事を書いていると,やはりパイ毛問題のような話の方がしっくりくると思うのは当方だけでしょうか。
ニーズの分からない当ブログに日々お付き合いくださっている閲読者さま,本当に感謝しています。ありがとうございます。

で。もう少し書きましょうか。
印鑑届手続問題です。

> うっかりするのは設立後の登記手続の場面です。
昨日記事で商号変更について書きましたが,更にうっかりすることもあります。
『本店を他の法務局の管轄区域内に移転する』 場合です。

他の法務局(登記所)の管轄区域内,とは何でしょう。分かりにくい表現をさせたら法律は向かうところ敵なしです。
簡単に申し上げると,『管轄エリア外』 のことです。管轄外本店移転。
具体的に申し上げると 『埼玉県から東京都へ』 とか。です。

たとえば,埼玉県草加市にある 『株式会社根本商事』 を,今般,東京都世田谷区に移転したいと。
適法に実体上の手続を終えたところで,さいたま地方法務局(本局)に,『移転したでよ』 と登記の申請をします。申請書は2通。

この時点では,さいたま地方法務局には代表取締役根本ショオジ氏にかかる会社実印が登録されています。
東京法務局世田谷出張所には,当社の登記や印影の登録は1ミリもありません。

さいたま本局に存在する登記記録を閉鎖して,世田谷の登記所に新たに登記記録を立ち上げる訳ですけれども,この際に世田谷宛に 『印鑑届』 が必要です。これ必須です。
まとめてさいたま本局に出してしまいます。

本手続を失念することはまずありません。司法書士試験でも論点となる部分です。
うっかりするのは 『印鑑カードの交付申請』 です。

実は,管轄をまたいで本店を移転すると,今まで代表者が持っていた会社実印にかかる 『印鑑カード』 は使えなくなります。
地球に優しくないことは確かですが,スウェーデン女子に怒られるかは知りません。

昨日に述べたとおり,会社設立時に司法書士が代理人として印鑑カードを取得しクライアントに納品書類一式の一部として交付しています。
会社代表者は,そちらを用いて 『法人印鑑証明書』 を取得したりしなかったりしていたところ,管轄外本店移転後は,当該カードは使用することができなくなります。

 

なくても死なないですけれども,『オイラは生涯印鑑証明書は取らねーぜ!』 と威勢の良い社長さんはそう多くはいません。
したがって,登記申請手続とセットで,印鑑届と印鑑カード交付申請の委任状をゲットしておく必要があります。

印鑑届は法律上必要,印鑑カード交付申請は現場作業として必要,ということです。

 



画像をご覧ください。できれば拡大して。
こちらが印鑑カード交付申請書のサンプルです。申請書と委任状が一体化しています。
 司法書士に依頼した場合,1枚の紙に2種類のハンコを押します。

上の左部分に押印するのが,『既に登録されている会社のハンコ』 です。
いわゆる 『会社実印』 です。

真ん中部分に押印するのが,『司法書士のハンコ』 です。申請人印です。
こちらは,登録印である必要はありません。なので,司法書士は,適当な認印を押します。

一番下の部分に押印するのも,『既に登録されている会社のハンコ』 です。最上部と同じものです。
本件では,代表取締役の 『個人実印』 は押印しません。したがって,印鑑証明書の添付は不要です。

印鑑証明書で思い出しました。
司法書士受験生以外の閲読者さま,もう少しだけお付き合いください。

昨日記事にて,
> 『印鑑届』 に添付する印鑑証明書は作成後3か月内のものじゃないと死刑
と書きました。

管轄外本店移転登記申請の際に,上記のとおり,印鑑届手続は必須ですが,本件では,原則として,代表者の個人印鑑証明書は添付することを要しません。
なので,3か月もへったくれもございませんので安心です。司法書士としては。

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