戦国の竜馬『計策師』予約始まりました! | 赤神諒のほめブロ

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ほめる、軽やかに、前のめりで。
自作の紹介や活動だけでは芸がないので、このブログでは、読者が前向きになれる題材を取り上げます。

歴史上の人物でいちばん好きなのは竜馬さんです。

理想の男性像ですね。

僕はかねて「戦国の竜馬を書きたい!」と、思っていました。

今回の主人公は、まさに僕の竜馬のイメージで、

もし竜馬が戦国武田家にいたら……と妄想して描きました。

 

カバーもかっこよすぎますよね。

 

さて、物語の舞台は、甲信、東海、関東にまたがります。

主人公は、甲府、駿府、小田原の三都を中心に各地を駆け巡ります。

今の時代も変わりませんが、保身に汲々とする者、金の亡者、女たらし、妬み嫉みで動く者たちが、交渉相手はもちろん、味方であるはずの武田家にも、いるわけです。

ヒロインとチョイ役を除けば、登場人物はすべて実在しており、多くの出来事が史実をベースにしてはいますが、いつもと同様、今回も9割以上が創作です。

 

僕はこれまで戦を中心に書いてきました。

でも、戦国だって、戦ばかりやっていたわけじゃない。

平和な時期も、地方も一時的にはあったし、そこでは平和の尊さがより際立っていたはず。

それに戦の前にも、後にも、途中にも、交渉や駆け引きがある。

今回描くのは、ずばり戦国の外交です。

 

大友サーガに追加する手もあったのですが、

「おいおいお前、また大友かよ!」と指弾されそうなので

――それでも開き直ればいいわけですが、気が弱いので――

戦国日本のどこかに、平和な場所、時代がないかな……

と考えれば、あります。

甲駿相三国同盟

有名人も出せる。題材はこれで決まり。

 

土地勘がある武田家で、主人公にできる人はいないかな……

と眼を皿のようにして探しました(←嘘つけ)。そうしたら……

――いました、いた、いた!

 

史実に名前がちゃんと残っているのに、どんな人物か、ほとんどわかっていない。

しかも研究者によれば、歴史に名を確かに刻んだ後、登場しないから、早死にしたのではないか、とされている……。

僕にとっては最高の条件の人物じゃないですか。

今回の主人公は、よほど武田好きの方でなければ、まず聞かれたことがないと思います。

ずばり、向山又七郎

ちなみに、ゲームの「信長の野望」シリーズにも登場していないようです。これから登場させて欲しいなあ……。

 

ふつうは齢を取り、出世していくと、河内守とか、美濃守とか、受領名を名乗り出すのですが、彼は武田の重要な文書に、名だたる重臣たちと連名で「向山又七郎」で署名しています。そしてそのまま、歴史から消えてしまう。生年は不明ですが、没年は過去帳にもあるので、若くして死んだとされているわけですね。

若いころに少ししか、足跡を遺していない。

それも、わかっているのは、本当にわずかの史実だけ。

 

僕は史実に沿って、史実を尊重し、史実に近い形でお伝えする「伝記歴史小説」を書いてきました。

……あ、嘘です。間違えました。(←根幹を間違えるな)

本当は史実より面白さを重視した「歴史エンタメ小説」を書いています。史実が残りすぎていると、想像力が限定されてしまうんですね。

ですから、あまり史実の残っていない人を好き放題に書くタイプです(すみません)。

歴史に少ししか足跡を残していなくても、裏方で活躍した人物は絶対にいるはずです。

裏方だからこそ歴史には残りようがないんでしょうね。

 

主人公はマイナーそのものですが、扱う題材は著名な甲駿相三国同盟ですから、もちろん有名人を多数登場させていますよ。

武田信玄はもちろん、駒井高白斎、太原崇孚、松田憲秀などのほか、絵師の雪村まで登場します。

 

クライマックスはもちろん、善徳寺の会盟

東の戦国の三英雄が一同に会したのか、そうでなかったのか……。

諸説ありますが、いずれにせよ、この巨大な同盟が、何の下交渉もなく「ほらよ、一丁上がり!」と、あっさり成立したはずはない。今も昔も、トップが会ってその場で全部決めてしまうなんてありえない。三大名の信頼する家臣たちが地ならしをし、条件を詰めていったからこそ、成立したはずなんですね。

 

戦国時代の外交交渉を担当する人たちを、「奏者」とか「取次」と呼んでいました。

僕が描きたかった人物は、自らも一定の見返りを受けて外交をも担当する高い身分の重臣ではなく、その下で実際に汗を流して、時には命をかけて、水面下でギリギリの交渉をして、実質的な話をまとめる縁の下の力持ちでした。

 

戦国にも、口八丁手八丁で、言葉だけで危機を切り抜け、敵も味方も動かし……という人物がいたはず。調略をお手のものとしていた信玄が、そのような計策専門の腹心を手元に置いていたとしても不思議ではない。

計策師」という言葉は、たぶん僕の造語です。

たぶんと言いますのは、「計策」という言葉はあったので、もしかしたら今後「計策師」と記した文献が「100%見つからないとも言い切れないかな……」と微かな期待を持っているからです。

歴史の専門家によりますと、「軍師」という言葉も、戦国時代の一次史料にはないそうですから、望み薄かもしれませんが。

現代で言えば、「交渉人」とでも言うべき役回りでしょうか。

 

色々な意味で、私の既刊作品の中でも、ファンタジー系の「神遊の城」を除けば、最高に創作度が高いといえるでしょう。

(←って、つまり、やりすぎじゃないのか)