「秀太、ご飯よ」
温もりが残った手を見つめていると、母親の声が聞こえた。
「はぁい」
秀太はやや脱力した声で返事をすると、おもむろにベッドから立ち上がり、家族の待つ居間へ向かった。
ドアの先に待つ居間は広くなく、かといって狭くもない広さで、左手にはダイニングキッチン、右手にはテレビなどの最低限の家電が置いてあり、ダイニングとの仕切りに食卓がピッタリくっ付けてある。
食卓には母親が並べたのであろうか、夕食の品々が彩りよく揃えられていた。
間もなく秀太は手前の席に座り、母親が秀太の向かいに座った。
「さ、食べようか」
母親は自らの作品に満足した様子で、食事の挨拶を秀太に急かす。
「うん、じゃあ、」
『いただきます』
2人の声が合わさり、暖かい空気に消えた。