幸いと言うべきか、図書室には他に誰もおらず、2人の独占状態だった。
「ふぃ~、来た甲斐があったわぁ」
田上は真っ先に、空調の風がよく当たる席に飛び付いた。
「そんな飛び付く必要があるかよ」
秀太は呆れながら田上の真向かいに座る。
「さ、勉強の続きだ」
「ストイックだなぁ、少しはこの涼しさを楽しもうぜ」
「ストイックも何も、明日も引き続きテストはあるんだ。楽しむ余裕なんてあるかよ」
「はいはい、分かりましたよ谷先生。勉強勉強っと」
田上のこの言葉を最後に2人の会話は途絶え、勉強の時間になった。
しばらくお互いに自習をしていると、秀太は解き方が分からない問題に出くわした。
なので秀太は席を立ち、参考書を探しに行った。
いつの間にか眠り込んでいた田上は起こさないままでおいた。
秀太が本棚の側面から参考書を探している途中、ふと不自然な箇所を見つけた。
無色透明ではあるが、何かその空間に盛り上がりがあるのである。
その盛り上がりに近付きながら注視してみると、その盛り上がりは何やらうごめいている。
秀太がそれに触れると、それを透明にしていたヴェールがみるみる解け、小さな竜巻に半球形の顔が乗った生き物が現れた。
「!?」
秀太がたじろぐと、それはこちらを一瞥し、また本に向き直る。
何気なく自らの体を見たそれは、ヴェールが解けていることに今更ながら驚く。
「なっ、何事ポロ!? バリアが解けてるポロォ!?」
慌てふためくそれを落ち着かせようと、秀太は詫びる。
「悪いけど、君に触ったら何か解けたんだよ。ごめん」
「まだまだバリアの質が低いポロ……。そして、お前は何者ポロ?」
「俺は、谷秀太」
「そうかポロ……。ポロはポポロ。鏡の国から来たポロ」
「ポロポロ言ってて分かりにくいけど、ポポロな。よろしく。何しに来たんだよ?」
「ポロ。実は……」
ポポロはここに来た理由を一つ一つ語り始めた。
その頃、田上は冷風で完全に体が冷えきり、大きなくしゃみをしていたのは余談。
