「今、ポロたちの国が危ないんだポロ」
おでこで跳ねるアホ毛のような何かをぴょこんと動かし、パステルイエローの小さな妖精(?)、ポポロはそう言った。
「ポポロの国が?」
「そうだポロ、ポロ達の国が危ないポロ!」
「危ないって……どういう事?」
大事なので二回言ったんですね、わかります。と心の中でツッコミを入れ、秀太はしゃがんでポポロに視線を合わせた。
「まだ具体的な事はわからないポロ」
「え、じゃあポポロはどうしてここに?」
「え、と…………きっ、気づいたらここにいたポロ! とにかく助けて欲しいポロ!」
一瞬戸惑った様子を見せたのを微かに疑問に思ったが、そのつぶらな瞳の真剣さに秀太は小さく頷いた。
「あ、ちょっと待ってて、呼んで来たい奴が」
「なるほど、つまり伝説の魔獣の復活を阻止するべく英雄の血を引き継ぐ五人の美少年を探し回っている……てことか」
「ポロッ!? 誰だポロ!? しかも全然違うポロ!」
「あ、ポポロ、今の声は気にしなくても良いよ」
振り返った直後に現れた男の声を、秀太は表情一つ変えることなく冷たく処理した。
「スルーとか傷つくわーうわーこりゃ全治三時間だわーまじやばいわー」
「同じネタを二度も使うのは感心しないぞ」
大きなくしゃみをして鼻をすすながら姿を現した締まらない男……まあ言わずもがな田上なのだが。
「てか、お前誰と話してんの? ……ん?」
田上は秀太の肩に手をおいて、その先の話し相手……ポポロを目視した。
未知の生物を見た時、一般の学生の世代なら少なくとも、うおっ、とか、何だこれ、とかいったリアクションをするであろう。
しかし田上は違った。
「めっちゃ……アイスクリームですやん」
ま さ か の 感 想 で あ る 。
「アホかお前!」
「しかもパイナップル味」
「色で決めつけんなよ!」
「あの頭から生えてるのウエハースじゃん!」
「知るか!」
「やっべぇ、俺ったらアイスクリームの妖精見ちゃった」
「アイスクリームから離れろ!」
「あの……ポロ」
盛り上がる二人の問答はポポロによって止まった。
「シュウタ、この少年は何者だポロ?」
「あ、ごめんなポポロ。こいつは俺のともだ」
「どうもハンサム昌紀こと、田上=ハンサム=昌紀です、キラッ。谷の友だちだ」
色々とツッコミを入れたくなったが、話が進まなくなるので秀太はぐっと拳を握ってそれを堪えた。
「ハンサムか、良い名前だポロ」
「だろ? んま、話はだいたい聞かせてもらったから。それで、“俺達”はどうしたら良い?」
さりげなく影で情報を仕入れているあたり、田上は意外とそういったことが得意なのかもしれない。
だが田上が酷く腹の立つ顔を見せつけるのをスルーした事に関しては、秀太よ、よく堪えた。
