鈴海老ぷーのリレー小説! -12ページ目

鈴海老ぷーのリレー小説!

鈴と海老天饂飩とぷーさんがお送りするリレー小説。個性ある三つの文体が織り成すほぼアドリブ小説の行く末やいかに……!

初夏には不似合いな冷たい空気を切りつつ帰る秀太の脳裏には、未だにあの光景が色濃く残っていた。

不思議なほど憶えているのは、あのあってないような風である。

あれだけリアルな世界にいながら、それだけが定かでないのである。

その奇妙さも相まって、秀太の記憶に残っていた。

あの光景を振り返っているうちに、秀太は自宅に帰り着いた。

地上8階建てのマンションである。

1階は住居と駐車場が併設してある。

秀太はエントランスで画面が付いたテンキーの前に立ち、自宅の室号を入力し、インターホンを鳴らす。

すると、聞こえたのは母親の翔子の声だった。

「はい」

「ただいま。開けて」

「はいはい」

その短い会話の後まもなく、秀太の右側の自動ドアが開く。