◆米大リーグ レッズ4―3パドレス(1日、米オハイオ州シンシナティ=グレートアメリカンボールパーク) 

 

  パドレスの松井裕樹投手(30)が1日(日本時間2日)、敵地のレッズ戦にで1回を投げ、無安打1四球2奪三振と好投した。防御率は1・99となり、6月末以来の1点台に再突入した。 

 

 2―2の7回に3番手で登板。先頭のブリトをスプリットで空振り三振。代打マイヤーズには3ボールからフルカウントとし、左飛に打ち取った。9番アローヨには直球の制球が乱れて四球を与えたが、1番ロドリゲスにフルカウントからハーフスイングの空振り三振を奪った。

 

  松井は敵地レイズ戦での連投から中1日。8月は11登板で本塁打による1失点のみと好投し、月間防御率は0・77。9月に入っても安定感は変わらず、6月末以来の防御率1点台に復帰した。

○ レッズ 4-3 パドレス ●<現地時間9月1日 グレートアメリカン・ボールパーク> 

 

 同点の7回裏に登板した松井は先頭の7番ブリトー空振り三振に仕留めると、代打マイヤーズは左飛。二死から四球により走者を出しながらも、1番ロドリゲスを空振り三振とし、現地8月10日のブリュワーズ戦から10登板連続で無失点リリーフ。

 

今季43登板目を終えて3勝1敗8ホールド、防御率は「1.99」へと低下させた。

 

  しかしパドレスは8回裏、松井からバトンを受けた4番手左腕エイドリアン・モレホンが痛恨の2失点。9回表には1番フェルナンド・タティスJr.がこの試合2発目の19号ソロで1点を返したが、反撃及ばなかった。

「満塁のピンチなら…ユウキだ」パドレス・松井裕樹が“9試合連続無失点”の快進撃「WBC辞退→開幕直後はマイナー調整」でも…なぜチームで評価される?

 

 ポストシーズンに向けて山場が続くメジャーリーグ。サンディエゴ・パドレスもその当落線上で厳しい戦いを続けている。そんな中で、ある日本人リリーバーの評価が急上昇中だ。果たして今年31歳になるベテラン左腕のスゴさはどこにあるのだろうか? 《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》 

 

  メジャー3年目、日米通算13年目のシーズンを戦うサンディエゴ・パドレスの松井裕樹が、メジャー屈指のブルペン陣の中で確固たる存在感を放っている。  昨季はプレーオフのロースターから外れるという屈辱を味わったが、今季ここまでの進化の物語はまさにその悔しさから始まっていた。

“前途多難”だったシーズンの初め

 今季の滑り出しは平坦ではなかった。 

 

 2月、WBC侍ジャパンへの合流も見据えて調整を進めていたアリゾナキャンプ中に左内転筋を痛め、負傷者リスト入りを余儀なくされる。メジャー開幕直後から始まった約1カ月に及ぶマイナーでの調整、リハビリ登板を経て、メジャー復帰を果たしたのは5月8日のカージナルス戦で、その後はイニング跨ぎの登板が続くことになる。

 

  5月17日のマリナーズ戦では、2イニング目となった7回にミッチ・ガーバーから空振り三振を奪い、日米通算1000奪三振を達成した。

 

 「全く知らなかった。長くやっているだけなので」

 

  そう本人は謙虚に語ったが、確固たる実績の上に新たな一歩を刻んだ。

 

  メジャーのベンチ入り枠26人のうち投手は13人で、先発5人ローテーションであれば救援枠は8人。その中で、どの球団にも厳然たる「ブルペンの序列」が存在する。

 

  大相撲の番付に例えるならクローザーの100マイル右腕メイソン・ミラーは横綱、セットアッパーの100マイル左腕エイドリアン・モレホンが大関になる。

チーム内では“関脇級”の高評価!?

 だが、今季の松井が担う役割、立ち位置は、過去2シーズンとは明らかに一線を画すようになっており、現在では関脇級の評価を受けていると言っていい。 

 

 シーズン前半戦を48勝48敗の勝率5割で折り返し、一時はナショナル・リーグのワイルドカード争い7位に沈んでいたパドレスだが、8月29日時点では貯金を「8」まで伸ばし、プレーオフ圏内の3位へと躍進を遂げている。

 

  実はこの反撃劇の立役者となっているのが、8月27日時点でリリーバー防御率3.46(ブルワーズ、ブレーブスに次ぐリーグ3位)、同奪三振数581個(同1位)、同投球回数569回1/3(同2位)を誇るブルペン陣なのだ。

 

  そしてその中でも松井は重要な局面での起用が目立つ。

 

  なぜ、出遅れたはずのシーズンにもかかわらず、チームでこれほどの信頼を勝ち得たのだろうか? 

 

「登板予定がないのに肩を作る風習は本当に無駄」MLBで“9試合連続無失点”パドレス・松井裕樹は何がスゴい? 高度解析で分かったその「納得のワケ」

 

 シーズン前半戦を48勝48敗の勝率5割で折り返し、一時はナショナル・リーグのワイルドカード争い7位に沈んでいたサンディエゴ・パドレス。それでも8月29日時点では貯金を「8」まで伸ばし、プレーオフ圏内の3位へと躍進を遂げている。

 実はこの反撃劇の立役者となっているのが、リーグ屈指の安定感を見せているブルペン陣なのだ。

 その中でも松井裕樹は、展開を問わず「これ以上点差を広げたくない」という試合中盤の極めて重要な局面(いわゆるハイレバレッジ・シチュエーション)での起用が目立つようになっている。

 

 ここまでの「3勝」はすべて松井の登板をきっかけにチームが逆転や勝ち越しを決めた証であり、ベンチからの信頼度の高さを物語る。

 特に圧巻なのはピンチでの強さだ。

パドレスでは「満塁のピンチならユウキ」!?

 今季はリリーバーにとって最悪のシチュエーションと言える「満塁」での登板がすでに9度を数え、そのうち「無死満塁」という絶体絶命の局面での登板は3度に及ぶ。しかし、満塁時の被打率は.077、WHIP 0.35、6奪三振と圧倒。パドレスでは「満塁のピンチならユウキ」という方程式はお馴染みとなり、回跨ぎも含めたスクランブル起用に応え続けている。

 

 7月の球宴前には「最近は(走者を残して)途中で代えられているので悔しい」と素直な心情を吐露することもあったが、「素晴らしい仲間がいっぱいなので助けられてばかり。僕も少しでもアウトを多く取れたらいい」と語る。もはや家族と言っても過言ではないブルペン仲間と助け合い、かつ切磋琢磨しながら強固な絆を築いてきた。

 8月7日のアストロズ戦では先頭打者に本塁打を許し2回1失点となったものの、球宴明けに見つけたという「試合中のアプローチ」への手応えを再確認。そのアプローチについての説明を求められた松井は一瞬の間を置いて「今はやめておきます」と口を閉ざしたが、それをメジャーで戦い続けていくための確かなものにしようという強い意志が伝わってきた。

 

 松井の評価を決定づけているのは、2点台前半の優れた防御率だけではない。

 

 メジャーの高度解析データ「ベースボールサバント」によれば、8月29日時点で予想被打率(xBA)は.169(100点満点中99点評価)、空振り率(whiff)は35.6%(同98点評価)を記録。勝利貢献度を示すbWARは「1.5」で、守護神メイソン・ミラーの3.1、100マイル左腕エイドリアン・モレホン(1.9)に次ぐブルペン3番目の数字を誇っている。

前2シーズンの数字と比べてわかる“成長”

 松井の24年シーズンが0.8、25年シーズンが0.5であったことからも、チームの勝利により貢献できる投手に成長、進化していることが分かる。

 この進化を支えるのが、緻密なデータ活用だ。

「(打者の)サンプル数が日本とは違いますから。何が得意で何が苦手かが明確に出るので、入ってくるスライダーが打てない打者ならそれを投げればいいし、フォークの方を打つならスライダーを選択する。そうしたしっかりした数字を頭に入れています」

 

日本と違うメジャー流の「合理性」も体得

 試合前のミーティングに加え、試合中もiPadやポケットに忍ばせた名刺サイズのカードでデータを確認。曲がり球は変化の異なるスライダーとスイーパーを意図的に投げ分けている。

 また、「登板予定がなくても肩を作る風習は本当に無駄。こっちは呼ばれてマウンドに行く時にしか電話が来ない」と語る通り、メジャー流の合理的な準備様式も完全に体得した。さらに、身体の大きいメジャーリーガーに負けないよう、試合前後の「準備」と「リカバリー」に誰よりも時間を割く。    

「こっちの人は体が強い。でも僕は他の選手より時間を使ってその差を詰めていかないと。彼らがベストじゃない時に僕がベストなら優位に立てる」

 

 毎日、戦える状態で球場入りするためのハードワークを自らに課しているようだ。連投や、複数イニングでの登板で球数が多かった日の試合後は、「100%ではないですけど、明日は登板がない可能性が高いので」と、誰もいないトレーニングルームでもう一汗流し、球場のクラブハウスで食事を済ませてから帰宅する。

 

 ここまで、連投は月に1回程度、3連投はさせないよう、選手たちのコンディションをコーチ、メディカルスタッフたちがしっかり管理していることも大きい。

 2ストライクと追い込んでからのメンタルコントロールといった課題に向き合いながらも、プロ13年目、10月で31歳になる松井は今、ルーティンが決まっていた日本時代の守護神像を脱ぎ捨て、タフな中継ぎとして成長を遂げている。

◆米大リーグ レイズ5×―4パドレス=延長11回=(30日、米フロリダ州セントピーターズバーグ=トロピカーナフィールド)

 

  パドレスの松井裕樹投手(30)が、敵地レイズ戦同点の延長10回から5番手で登板。1回を無安打1四球、2三振で無失点に封じ一度は4勝目の権利を得たが、6番手のモーガンがその裏に2点を失って逆転サヨナラ負けとなった。

 

   まさかの登板でも、ベンチの期待に応えた。3―1の9回に守護神ミラーが登場。このまま終了と思いきや、2死一塁からデルーカにまさかの同点2ランを浴び試合は振り出しにされ、ミラーは降板。延長10回タイブレークで無死二塁から託されたマウンドだったが、松井は先頭打者を送りバント失敗(記録は三振)させ、続く打者の時にマテオに三盗を許した。しかし、ウォールズ空振り三振、ディアスを申告敬遠、アランダを内角直球で中飛に仕留めた。

 

  その力投に応えるようにパドレスは11回に暴投で三塁に進塁していたマチャドのフランスの右犠飛で勝ち越したが、6番手のモーガンがその裏2点を失って逆転サヨナラ負け。松井の4勝目はフイとなった。

MLB.com』は現地8月29日(日本時間30日)付で「FA市場を揺るがす27のオプトアウト/オプションを巡る決断」と題した記事を掲載。今季終了後にオプトアウト条項や、プレーヤーオプション、球団オプションを巡る判断を控える27選手を紹介しているのだが、その中に2人の日本人選手が含まれている。

※オプトアウト:選手が複数年契約の途中で契約を破棄し、FAになって別の契約を結び直すことができる権利

記事では冒頭で「(来るオフシーズンに)オプトアウト条項や、プレーヤーオプションの行使を検討すべき選手は数多く存在し、一方で来季の契約に関するオプション権を球団側が握っているケースも少なくない」とした。

その上で、「こうした状況を踏まえ、シーズン終了後に去就が決定する、オプトアウトやプレーヤーオプション、あるいは球団オプションの対象となっている選手を取り上げ、最終的にどのような決断が下される可能性があるのかを検証する」とし、その1人としてサンディエゴ・パドレス松井 裕樹をピックアップ。

記事では松井について「2023年12月にパドレスと5年総額2800万ドル(約40億円)の契約を結んだマツイは、51回1/3を投げて防御率2.10を記録するなど、メジャーにおけるキャリアで最高のシーズンを送っている」と評した。

そして、「空振り率と被ハードヒット率はいずれも97パーセンタイル(上位3%)に入る優秀な数字を残している」と、左腕のストロングポイントを数字で示した。

一方で、「与四球率に関してはリーグワーストクラス」と弱点も指摘。しかし、「マツイは市場に出ればトップ5に入る左腕リリーバーの1人と言える存在」であることから、「彼が契約のオプトアウト権を行使したとしても何ら不思議ではない」と結論付けている。

なお、記事では今季を終えると、残り契約年数が2年となるヒューストン・アストロズの今井 達也をこ27選手の1人としてピックアップしているが、右腕については、「メジャー1年目の成績は振るわず、先月には先発ローテーションから外される結果となった」とした。

そして、このオフの見通しについて、「アメリカでのプレーや生活環境への適応に苦労したイマイが、オプトアウトする可能性は低いとみられる」と伝えている。

◆米大リーグ レイズ7―6パドレス(29日、米フロリダ州セントピーターズバーグ=トロピカーナフィールド)

 

  パドレスの松井裕樹投手(30)が、敵地のレイズ戦に1点ビハインドの8回から5番手としてマウンドに上がり、1イニングを無失点投球。これで8試合連続無失点をマークした。

 

  8回先頭のパラシオスを右飛に打ち取ると、ムリンスは四球で出塁を許した。だが、後続を三ゴロ、空振り三振で切り抜けた。 

 

 松井は前半戦25試合に登板し0勝1敗4ホールドで防御率2・73だったが、後半戦に入り、16試合に3勝4ホールド、防御率0・93と抜群の安定感でチームに貢献している。

 

  試合は3-6で迎えた7回にレイズがディアスの満塁走者一掃のタイムリー三塁打で同点とし、シンプソンのタイムリーで勝ち越し。そのままレイズが逃げ切った。