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7月も半ばを迎え、世間ではそろそろ夏休みの足音が聞こえてくる時期になりましたね。ワンルームの部屋で静かにパソコンに向かい、言葉を紡いでいる日々のなかでも、外から少し賑やかな子どもたちの声が聞こえてくると、ふと自分自身の「こどものころの夏休み」に思いを馳せることがあります。
我が家のこどものころの思い出を振り返ってみると、夏休みにはほぼ毎年、家族みんなで旅行に出かけるのが一番の楽しみな恒例行事でした。今回は、そんな懐かしい夏の日々の記憶と、我が家のちょっと不思議で愛おしい旅行の定番についてお話しします。
なぜか毎年のように行っていた旅行、行先は高確率で「箱根」
毎年のように連れて行ってもらっていた家族旅行ですが、行き先を見返してみると、なぜか圧倒的に「箱根」を選んでいる率が高かったように記憶しています。
今の私といえば、アースカラーやダークトーンの落ち着いたインテリアを好み、日々の暮らしの中で静かに和菓子とお茶を味わう時間が何よりの至福です。そのため、今の感覚であれば、箱根という土地が持つ歴史的な情緒や、緑豊かな山の佇まい、静謐な美術館めぐり、そして心身を深くほぐしてくれる名湯の魅力が痛いほどよく分かります。
けれど、当時の私たちはまだ幼い子どもです。渋い温泉街の風情や情緒を味わい尽くすには、少し早すぎるお年頃だったはず。両親の好みという可能性もありますが、なぜ、我が家の夏休みはあんなにも「箱根率」が高かったのでしょうか。
温泉地なのに、どうしても譲れなかった「プール」
箱根といえば、誰もが認める日本有数の温泉地です。本来であれば、どこのお湯に浸かるか、どんな情緒あるお宿に泊まるかというのが最大の醍醐味であるはずです。
それにもかかわらず、当時の私たち子どもが宿泊先の条件としてなぜか頑なに、そして強烈に要求していたのが、「ホテルや施設にプールがついていること」でした。
せっかく名湯で名高い箱根の山の上まで来ているというのに、温泉の効能や風情はお構いなし。私たちの目当ては、ただひたすら広いプールでバシャバシャと水しぶきをあげて泳ぐことだったのです。 両親からしてみれば、「せっかく箱根に行くのだから、温泉をゆっくり楽しめばいいのに……」という苦笑いしたい気持ちが少なからずあったことでしょう。それでも、毎年私たちの「どうしてもプールに入りたい!」という謎のリクエストを優しく受け止め、プール付きの宿泊先を一生懸命に探して連れて行ってくれた両親の広くて温かな心には、大人になった今、改めて深い感謝の気持ちでいっぱいになります。
大人になった今の私がもし旅先を選ぶとしたら、賑やかなプールよりも、隠れ家のような静かなお宿で、お気に入りのうつわに盛り付けられたお料理を味わい、静かに温泉へと浸かる時間を迷わず選ぶと思います。
けれど、毎年夏になると思い出すのは、箱根の緑豊かな自然の中で、プールサイドに響き渡っていた私たち兄弟の楽しそうな笑い声と、それを見守ってくれていた両親の優しいまなざしです。こうした不器用で温かな夏の記憶が、今の私の心の奥底を、いつまでも穏やかに支えてくれているような気がします。
皆さんの心の中には、こどものころの家族旅行といえば、どんな懐かしい風景が浮かびますか?
