今回は2本の新作映画です。


『悪の偶像』 ★★★


毀すべき偶像は何なのか・・・と考えさせられる側面もあるがものの、最終的な着地点が結局、個人の復讐というレベルになってしまうあたりが後味悪し。
全文はコチラ→biglobe「キネマのマ」

『コリーニ事件』 ★★★☆


大戦中のみならず戦後処理の誤りを正そうとする真摯な姿勢・主題はいいのだけれど、人間関係がいまひとつでサスペンス醸成としては興ざめかな。
全文はコチラ→biglobe「キネマのマ」

 

『コリーニ事件』で登場する悪法からの連想なのですが、この映画を観る直前、6月末に「旧優生保護法訴訟 賠償求めた原告の男性 敗訴」のニュースがありました。ニュースはコチラ

 

 

優生保護法は身体障害、精神疾患、その他粗暴性格などを根拠に、政府による強制的に不妊手術を許可するものです。現在は廃止になっています。

原告の男性は「非行」を理由に手術を強制的に受けさせられたもので、その後、結婚したのですが、不妊の理由は妻には終生明かせなかったと涙ながらに訴えていました。

 

今回の敗訴理由は、「優生保護法は憲法に違反しているが、原告の訴えは不法行為(今回の場合は強制不妊出術を受けさせられたこと)を訴える期間(排斥期間)を過ぎている」というもの。

個人同士、私人間における不法行為における排斥期間と、国の違憲行為を同一俎上で論議していいものか・・・ どうにも遣る瀬無い判決。

映画『コリーニ事件』におけるコリーニの心情と重なって見えたのですが、いかがでしょうか。