前回は大阪なんば南海通りにあった千日前弥生座のことを書いたので、今回はその隣にあった花月シネマについて。

この劇場は、吉本興業が現在の本拠地・なんばグランド花月に移転する前にこの地にあったなんば花月の地下にありました。

オープン当初は洋画1本立ての名画座で、後に洋画成人映画の封切館、その後、単館系洋画のロードショウ館となりました。
洋画ロードショウ館になったのは、東京で起こったミニシアターブームにより洋画の封切本数が増加したためでしょう。

りゃんひさがこの映画館に通い始めた頃は、洋画成人映画の封切館でした。

えええ、中学生がそんな映画館に!
と思うかもしれませんが、この映画館にはちょっと秘密がありました。

それは、モギリのカウンターのところで洋画ポスターを100円で売っていた、ということ。
で、ポスターを買うと、チェーン館で上映した(もしくはこれから上映予定の)映画のチラシが10枚ぐらいオマケで付いてくる。
このポスターとチラシ欲しさに、いそいそと地下の劇場へ通じる階段をおりていったものです。

そこで買ったポスターは『ゲイター』『007は二度死ぬ』『ダーティハリー3』など。
自室の壁や天井に貼って楽しんでいました。

オマケについてくるチラシの中には、だいたい1枚、洋画成人映画のチラシが混じっていました。
上映中の館内からは、女優さんのあえぎ声も洩れ聞こえるし、うーむ、中学生には刺激的・・・

で、この花月シネマで観た映画は、というと・・・
あまりいい思い出がない。

映画を観たのは80年代になってからなんですが、一時期、日本ヘラルドが往年の名画のリバイバル上映を盛んにやってまして、その中で『マルタの鷹』と『大いなる西部』をこの花月シネマで観ました。


マルタの鷹』は本来スタンダードサイズの映画をビスタで上映しているものだから、顔の上半分が切れて映っていないことがしばしば。
もともと判りづらいストーリーがさらに判らなくなってしまいました。

大いなる西部』は16ミリのブローアップ版らしく、本来シネマスコープの左右が切れた画面になっていて、「せせこましい西部」になっていました。

この2本で懲りたので、その後、この映画館に足を運んだ記憶はありません。
(途中から、ポスターも売らなくなってしまったし)

ついでに、花月シネマの向かいにあった難波ジョイシネマのことも。

ここはパチンコ屋の2階にあった映画館で、天井が低かったのを記憶しています。
もとはナンバ新東宝という邦画成人映画の上映館でしたが、80年代後半にB級アクションの2本立てなどを上映する映画館に転じたものです。

ここで観たのは、唯一、ジャック・リヴェット監督作品の2本立て
それも『美しき諍い女』と『美しき諍い女 ディヴェルメント』の2本立て。

たぶんこんな2本立ては空前絶後。
このときの記憶は「キネマのマ」にて、「『美しき諍い女 ディヴェルメント』:1993年の観たログメモ(1):ビックリの2本立て」として記していますので、そちらを参照していただければ助かります。

ということで、南海通りを通り抜け、『がんばれ!ベアーズ』を観た南街会館の前まで戻ってきました。
70年代後半から80年代はじめにかけて、ロードショウで観るのはここが多かったです。
では、次回は南街会館の各映画館について記すこととします。