前回の最後に、いわゆる話題作をロードショウで観る以外に、名画座に足繁く通うようになったと書きましたので、今回はそのハナシ。

1970年代後半の大阪では大阪市内や市内周辺部に数多くの名画座がありました。
ロードショウから半年ぐらい経った映画を、2本立てまたは3本立てで上映する劇場です。

代表的なのは、キタの「大毎地下劇場」とミナミの「戎橋劇場」。
どちらも洋画2本立てで、料金は大毎地下劇場のほうが若干安かったように記憶しています。

はじめて行った名画座は、戎橋劇場の『キングコング』と『カサンドラ・クロス』の2本立てですが、頻繁に通ったのは大毎地下。

大毎地下は、キタの堂島地下センターという地下街の南端、毎日ホールの地下にあった劇場です。

地下1階のチケット売り場には開場前から観客の列が出来ており、チケット売り場横の階段をさらに下りていくという構造になっていました。
場内は赤いカーペットが敷かれ、落ち着いた雰囲気。
劇場左手の休憩スペースにはテレビが置かれており、春夏の高校野球シーズンでは生中継が映して出されていることが多かったです。

パンフレットやポスターの販売も充実で、過去上映作品のストックも販売していました。
ポスターは1枚100円だったので、よく買って帰ったものです。

で、初体験は『サイレント・ムービー』と『ヤング・フランケンシュタイン』のメル・ブルックス映画2本立て。

ヤング・フランケンシュタイン』はとにかく面白かった。
ユニバーサル製のフランケンシュタインは観たことがなかったにも関わらず、です。
目玉のマーティ・フェルドマンのアイゴールが目玉グリグリするシーンや、ジーン・ハックマン扮する盲老人とモンスターとのやりとりなどは、能天気な可笑しさでした。

サイレント・ムービー』は文字どおりの無声映画。
『ヤング・フランケンシュタイン』と比べると散漫な感じなのですが、バート・レイノルズやアン・バンクロフトなどのゲストスターが楽しかったです。
この映画で唯一のセリフをパントマイムのマルセル・マルソーがしゃべるというのもなかなか粋(これは、淀川長治か浜村淳のラジオで先に聴いていたの知っていたのですが)。

と、大毎地下初体験はコメディ2本立てでしたが、この劇場では往年の名作から中学生には難しいようなヨーロッパ映画の2本立てなど、さまざまな映画の洗礼を浴びることとなりました。

次回は、大毎地下で浴びた洗礼のハナシを書くことにします。