旦那の浮気発覚から最悪な気分で過ごす事になった結婚記念日は、更に私を悪夢へといざないました。本来4年目の結婚記念日はレストランで過ごす予定だったけれど、私はとてもそんな気にはなれませんでした。信じてた旦那に裏切られたショックから、もう顔を合わせるのも怖くなっていました。
本当は、旦那が帰ってきて浮気を認めてしまうのが一番怖かったのかも知れません。否定され続けて疑念が晴れるわけでもないけれど、認められて浮気された事実を受け入れなければならないのは、私にとって恐ろしい事だったので・・・。
もう、自分がどうしたいのか・・・分からなくなっていました。
夕方になって、そろそろ旦那が帰ってくると思った私はじっとしていられなくなり、家を飛び出ました。
向った先は・・・あのK喫茶店でした。当時まだユウキの事を意識していたわけでもないのに、あの時の私が何故、よりによってK喫茶店へ向ったのかは今でも分かりません。ただ、他に逃れる場所が無かっただけなのかも知れませんが・・・。
「いらっしゃいませ~・・・あっ!葉月さん!」
「・・・ユウキさん、お久し振りです。」
「お仕事中ですか?」
「ううん、今日は休みなんだけどね。ちょっと気晴らしに。」
「そうですか~。何か嫌な事でもありましたか?(笑)」
ユウキの何気ない問い掛けに、言葉が詰まってしまいました。
「あっ、いやっ、済みません・・・。立ち入った話をするつもりは無かったんで・・・。」
「いえ・・・大丈夫です・・・。」
「本当、済みません・・・。今コーヒーお持ちしますので・・・。」
ユウキは愛想笑いすら浮かべず、済まなそうに私の元から立ち去って行きました。