爽やかに秋の気配が立ち込める
秋の風が入り込んでくる部屋で
僕は手紙を書いている
君の姿を見れなくなってから
一年の時が過ぎてしまったね
不思議だな、今の方が君を近くに感じるよ
君があんな手紙を送ってくるからだよ
今どき手紙だよ
スマホがあってメールもLINEもある時代に
君は決して僕に電話番号すら
教えてくれなかった
それなのに僕に手紙をくれたんだ
その手紙の中の一行に
こんなことが書いてあった
「貴方とはプライベートでお会いすることは
ありません」
不思議だよね
僕はまだ君に「好きだ」と言ったことも
なければ、食事もしたことないのに
ただ会えば笑顔で君の名を呼び
挨拶を交わし、手を振っていただけなのに
その時に伝わってしまったのかな?
僕の思いが…
僕の声に君への思いをいつも乗せていたから
だからこそ気づいたんだ
君の思いに
これ以上近づいたら
本当に会えなくなってしまうんじゃないかと
ただ手を振るだけでも
心踊る程の喜びを感じる事が出来るのに
それさえ出来なくなってしまったら
という恐れみたいなものが溢れてしまった
んじゃないかと
あの手紙は僕に向けた
ラブレターだったんじゃないかってね
とんだ思い過ごしだとしてもいいんだ
僕は君のことが好きだから
君の知り合いから聞いたよ
僕のこととても心配していたって
君は手紙を送ったことで僕が落ち込んで
いるんじゃないかって
君の気持ち受け取ったよ。だから大丈夫
僕はしばらく僕だけの時間を
過ごしてみようと思うんだ
この年になってようやっと気づいたんだ
自分のためにどれだけの時間を費やして
きただろうかってね
きっとほとんどの人が自分のためだけに
時間を費やしてきていないだろう
君は「何をするの?」って
聞くかもしれないね
それは内緒
君は呆れるだろうな、きっと
だって君は物凄く真面目で
「その年で何をやってるの?」って
怒り出すかもしれないから(笑)
それでもやるよ、僕は
僕は僕の人生をしっかり生きて
君を迎えに行く
君の中で僕のことが淡い夢の様な
思い出に変わる頃
僕は君と青空の下で再会するんだ
出会った瞬間
その夢はキラキラと輝き出し
様々に色づき始め
現実のスクリーンに映し出されるんだ
その時が来たら
今度こそ君と並んで
同じ景色を観て歩こう
手を繋いで
そして僕は君に聞こえないように呟く
「君のいる世界はなんて素晴らしいんだ」
ってね
少し長くなってしまったね
これは君へのラブレターなんだ
でも僕はこの手紙を送ることは出来ないね
だって君の住所知らないから
この手紙を書き終えた頃
夕日が秋の空を紅く色づけ始めていた
ドリー・レイコ
