朝、目覚めてコーヒーを入れる。
入れたてのコーヒーをカップに注ぐ。
茂さんの前にカップを置きながら
「今日、茂さんの誕生日だね」
「お誕生日おめでとう」
私がそう伝えると
茂さんは、素っ気なく こう答える
「ああ、ありがとう」
嬉しいのか嬉しくないのか
誕生日なんて別にどうでもいいと
思っているのか
他の人が聞いたら全く分からない
答え方なの。
でもね、私には分かるの。
クールな顔して答えても嬉しい時は
右の眉毛がちょっとだけ動くの。
二ヶ月前のこと。
茂さんが夕食の時に
「明日の休み休日出勤になった。だから明日一緒に買い物行けなくなった。わるいな」
私はその言葉を聞きながら
まだ二人が付き合う前に
茂さんの仕事をする姿を見ては
うっとりと眺めていたのを思い出していた。
すると思わず口にしてしまった。
「茂さん、カッコいい」
茂さんはちょっと呆れ顔で
「お前といると過労死させられるな」
そんなこと言って
でも、ほらっ
右の眉毛動いてますけど。
嬉しくても、嬉しくない。
楽しくても、楽しくない。
好きでも、好きじゃない。
そんな言い方しか出来ない
なんとも天邪鬼な人だけど
私は、そんな茂さんが大好き。
そう、大好きなの。
窓から光が差し込み
今、二人を優しく包んでいる
そんな穏やかな時間が流れているこの部屋で
『茂さん
今日は二人の思い出の
ガトーインビジブルを
焼いてお祝いしましょ』
そう話しかけると
また右の眉毛が…
今日、こうして二人で誕生日を祝える日が
来るなんて思えなかった頃が
嘘のように感じるほどに
幸せを今、感じているのよ。
生まれる前に約束した通りに
この地球に生まれて来てくれてありがとう。
私を見つけてくれてありがとう。
こうして一緒にいてくれてありがとう。
そんな素敵な茂さんに
「Happy birthday」
