-----少々ネタバレあり-----
河﨑秋子の清浄島のサイン本をゲットしました。
感染症に関するお話なんだけど、それだけじゃ終わらない一冊でした。
読みながらずっと思っていたのは、「なんで北海道の人ってキツネをあんなに警戒するんだろう?」っていう素朴な疑問なんですが、これが納得できる形で腑に落ちます。
舞台は礼文島(北海道の北西の小島です、google地図で見ましたが場所を正確に知ったのは初めて)。
きれいで、静かで、でもどこか閉ざされた空気のある場所。そこにキツネが持ち込んだ寄生虫「エキノコックス」が広がっていく。
人の体の中で増えて、気づいたときには命に関わる――正直、呪いって言われても違和感ないくらい怖い病気です。
で、この物語のしんどさはここから。対策がとにかく過酷です…。
キツネやイヌ、ネコといった終宿主、さらに野ネズミまで駆除して、調べていく必要がある。頭では「仕方ない」と分かっても、感情がついていかない場面が何度もありました。
それでもやるしかない。そこで出てくるのが、
「長い知恵比べ」
「より良い方法を知恵振り絞って考えなきゃいけない」
っていう言葉。
これがめちゃくちゃ重い。
きれいごとじゃ済まない現実の中で、人がどう向き合うかをずっと突きつけてきます。
読んだあと、キツネの見え方がちょっと変わると思います。
かわいいだけじゃないし、ただの悪者でもない。
人間の暮らしとぶつかったときに、どうしても生まれてしまう距離みたいなものがリアルに感じられる。
重いテーマではあるけど、ただ暗いだけじゃなくて、「どう生きるか」をちゃんと考えさせてくれる本でした。
こういう作品、読んでよかったなって素直に思えるやつです。
文庫本を購入しましたが、なかなかにページ数がありました。