大学入学前からサッカー部に入ることを決めていたので、入学してすぐサッカー部に入部した。
中、高とレベルは高くないものの低学年のうちからチームの中心としてプレーしていたため、入部前はすぐにTOPチームで活躍できるだろうと考えていた。しかし、そんな甘い考えとは裏腹に入部してからは苦しい時間が続いた。
1,2回生
1回生
入部してからはBチームでプレーしていた。
最初は練習についていくのに必死だった。
高校とは比べ物にならないプレースピード、フィジカル、強度。何一つとして自信を持って戦える武器はなかった。
それに加えて毎日のように地獄のランメニューがある。一人暮らしを始め、大学生活もままならない自分にとっては正直しんどすぎた。
毎日のように弱音を吐いていたし、辞めたいとも思っていた。最初は17,8人ぐらいいた同期も続々と辞めていって最後には7人まで減ってしまった。
それに加えて、Bチームでの立ち位置、序列も低かった。練習試合では3本あるうちの3本目だけ、公式戦はベンチ入りするものの出場はなし。
自分が入部前に描いた理想とは全く違い、何もかも上手くいっていなかった。
しかし、一回生の自分は未熟すぎるが故に上手くいっていないことを認めることができずに何かと理由をつけていた。「まだ体が戻ってないだけ」「本気出したら絶対あいつより上手い」そんなふうに自分の弱さを認めることができず、コーチのアドバイスも素直に聞かずに、毎日の練習でただただ言い訳をし続けるプライドの高い最悪な選手に成り下がっていた。
もちろんそんな選手は成長するはずはない。
サッカー選手である前に一人の人間でもある。一人の人間として成熟していないやつがサッカーで結果を出せるわけがない。
今の自分では気づくことができても当時の自分は全く気づかなかったし、気づこうともしなかった。
そんな自分だがチャンスが転がってきた。一回生の夏前にAチームの試合に呼ばれた。怪我人やリーグ戦の影響で人が足りずにたまたまではあるが試合に呼ばれた。対戦相手は大学サッカーのトップを走るようなチームのBチームだった。Bチームといってもかなりレベルは高く、当時Bチームにいた選手で、現在Jリーグでプレーしている選手がいるようなレベルだった。
その試合では90分フル出場した。しかし、個人としては全く何もできずにチームも大量失点して敗北した。
本気でチャンスを掴もうとしたのか。
せっかくのアピールチャンス。今の苦しい現状から抜け出せる。サッカー選手としても一人の人間としても一つ上のステージに登れる。
チャンスは何度も転がってくる訳ではない。このチャンスを逃したらもう一生Aチームに上がれないかもしれない。
そんな危機感を持っていただろうか。いつ転がってくるかわからないチャンスに、日頃から最高の準備をしていたのだろうか。
当時の自分にはそんなことを考えることもなく結局はAチームに残れなかった。その後も数回ではあるがAチームの練習に呼ばれることもあったが結果を残せずに一度もAチームに残れなかった。
そうしてBチームのままシーズンを終えた。
2回生
1回生が終わり、2回生を迎える。
大学サッカーがある生活にも慣れてきて今シーズンこそはAチームに定着すると意気込んで迎えた。
幸運なことに当時の学生コーチの評価は高く新チーム始動時にはAチームでプレーすることができた。
プレシーズンでの毎日の練習は本当に緊張した。練習ですら、今まで感じたことのない緊張感。
全員が自分より上手い選手。ミスをしてはいけない緊張感。
逃げ出したくなるくらい怖かったけど、この環境なら確実に成長できると感じた。
怖いけど、少しでも長い期間この環境に自分の身を置きたい。そんなことを思いながら毎日の練習に全力で取り組んだ。
そして4月からAチームのリーグ戦が始まり、途中交代ではあるが初めてAの公式戦デビューを果たした。
二点ビハインドの状態で残り5分程度。特に目立ったプレーもなく、チームはそのまま敗戦。
正直何かを期待されて出してもらえた訳ではないと思う。それでも自分としては初めての公式戦デビューが嬉しかった。
これからもっともっと試合経験を積みたいと思った。そして試合に出続けれると思っていた。
しかし、ここで怪我をしてしまう。全治1ヶ月ほどの怪我。それをきっかけにBチームに落とされてしまう。
さらに自分と同じポジションの新入生がAチームに上がり活躍し始めた。
せっかく掴みかけたチャンスが遠ざかっていく。一回生の頃と状況は違えど、またチャンスを逃した。
正直ありえないぐらい悔しかったし、焦っていた。一刻も早くAチームに戻らなければ。
その思いを抱えてBチームに合流した。
Bチームではある程度中心選手としてプレーできていた。公式戦もほとんどスタメンで起用されたし、目にみえる結果も出してきた。自分のプレーが通用し、サッカーが楽しかった。しかし、なかなかAチームに呼ばれることはなかった。それでも練習試合や練習で結果を出し続け、夏頃にはAの練習に呼ばれるようになった。たまにではあるが試合にも呼ばれるようになり、素直に嬉しかった。
そして継続的にAチームに呼ばれるようになった。
それでもなかなかAチームに定着することはできなかった。
いつのまにかBチームに落ちた時の焦り、悔しさが薄れて消えていったんだと思う。
Aチームの練習では単純に違いを作れなかったし、同じポジションの他の選手の方が良いプレーをしていた。こいつをAチームに置きたいと思わせる武器もメンタリティも自分には足りなかった。
結局は自分の力不足が原因だった。
そのまま変わることなく去年と同じくBチームとしてシーズンを終えた。