今夜はアガサ・クリスティーの名作「ナイル殺人事件」を観ながら(エルキュール・ポワロ) | 食事処 御来欧音おらいおーね(福岡県筑紫野市阿志岐1521‐1/ゼロ戦/鉄道模型/ガンプラ)
 
 

昨日は、本家本元というべき、デビッド・スーシェ主演のBBC版ドラマを観ましたが、こちらは20世紀FOX制作で、前作に引き続きケネス・ブラナー主演ですが、前作で日本語吹替を担当した草刈正雄(≠草刈機まさお・・・笑)さんが外れていてちょっと残念。

 
BBC版はジャクリーンとサイモンの同棲シーン→リネットとサイモンの出会いでしたが、こちらは第一次世界大戦でベルギー軍に参加したポワロから物語が始まります。
ポワロの進言で橋頭堡を確保したポワロ所属の中隊は、敵(ドイツ軍?)のワナにはまり、隊長以下、中隊は壊滅。ポワロは顔と心に深い傷を負います。
若き日のポワロは、恋人カトリーヌ嬢も拒絶し、彼女は最後に「傷を隠すために髭を生やす」ことをアドバイスして去ってしまいました(涙)。ポワロのトレードマークである髭の由来にここまで突っ込んだ設定は初めて見ました。もしかしたら、原作にあるのかな?それとも新解釈?
 
少し脱線しましたが、原作自体が超有名作ですので、今回は昨夜のBBC版との登場人物の違いを・・・・。
 
主役のポワロ、ゲスト主役のジャクリーン嬢、サイモン、リネット嬢、メイドのルイーズは大きく変更はありません。
リネットの財産管理人アンドリューは、強面の壮年白人男性からアフリカ系アメリカ人でリネット嬢の従兄弟となり、若くなっています。
ヴァン・シュワイラー女史は、ヴァンスカイラーと名前が変わり、上流階級を鼻にかける人物から、必要以上の個人資産は罪と考える社会主義思想の持ち主になり、コーネリアは中年のバワーズ看護婦に置き換わっています。
オーストリア人のベスナー医師は、かつてリネット嬢にフラレたウィンドシャルム医師に変わってます。
 
そして、ここからが物語に大きく影響する部分です。
サロメ・オッタボーンは、女流作家ではなく、有名なアフリカ系のブルース歌手になっています。しかも、彼女の歌声と、妖艶で魅力的で奔放だが、誠実な人柄に堅物なポワロも惹かれていきます(恋愛感情かは不明だが、そう思いたいですね。ポワロにも幸せになって欲しいですから。笑)。実際、エンディングでは閉店時間ギリギリまで彼女のブルースを聞き入るポワロの姿が見られます(笑)。
サロメの娘、ロザリーは姪という設定に変わり、リネットの親友で、オリエント急行殺人事件から再登場のブーク(後述)と交際中ということになっており、アフリカ系アメリカ人の活発な女性です。
そして、オリエント急行殺人から再登場のブーク。前作の段階で既に「上流階級ゆえに国際寝台車会社の重役として縁故採用、仕事熱心とは言えない遊び人だが、悪い人間ではなくポワロと親友」という設定ができていましたが、今回はその結果として、国際寝台車会社をクビになり、プー太郎だが、ロザリーと結婚したいと思っている、という人間模様が追加されています。悲しいかな、彼はロザリーを愛するがゆえに罪を犯し、結果的に犯人に殺害されてしまいます(BBC版のティム・アラートンの立ち位置でサロメ・オッタボーンの顛末を迎えます)。
新たな登場人物、ブークの母、ユーフェミア。彼女のブークへの愛情が、結果的にブークを犯罪に追い込み、死なせてしまいます。原作のアラートン夫人の立ち位置です。
 
大幅な役柄の変更はないリネット嬢役のガル・ガドットさん。ワイルド・スピードシリーズ、ワンダーウーマンで有名なイスラエルの女優さんだそうですが、黒髪のまるでクレオパトラのような綺麗な方で、実際にナイル河畔でクレオパトラに扮した姿は必見です。
 
さて、先日我らが、くさせんり師匠と「次の三谷幸喜脚本アガサ・クリスティ作品はどれ?」という話題で激論を交わしました(笑)。
既に放映された「死との約束」と共に人気の高い中東3部作「ナイルに死す(ナイル殺人事件・・・・本作)」「メソポタミアの殺人」ではないか、という話になりました。
しかし、メソポタミアは人間模様は我が国に置き換えられるものの、殺害トリックと凶器が我が国の史跡、例えば登呂遺跡や吉野ヶ里遺跡の竪穴住居や、立派な軒先を持つ寺院や城郭の建物では多分実行できません。
 
 
やはり、知名度やドラマチックなエンディングからは「ナイルに死す」が最適では?という結論になりましたが、このカルナック号のような宿泊可能な内海や河川のクルーズ船が見当たらないのが厳しいようですが、やはり次回作が楽しみです。
 
最後まで脱線続きですみません。