以前、訪問した由布院・岩下コレクションの展示車の続きです。
1938年式 ベロセットKTTマークⅧ
KTTとはKamshaft Tourist Trophyの略称で、カムシャフトをヘッドに
置いたことを示し、マン島TTを制覇するために作られたレーシングマシン
でした。
まだサイドバルブエンジンが全盛だった1924年に、ダイレクトにバルブを
駆動するOHC(ロッカーアーム型)を開発。
クランクシャフトから伸びた垂直のシャフトでカムを駆動しました。
KTTシリーズはMk-ⅠからⅧまで作られ、最終型Mk-Ⅷは、1938年の
マン島TTレースでファクトリーチームが大成功を収め、その翌年に
レーシングマシンとして市販されました。
この時代にリッター当り100馬力の348ccで34馬力を発揮。
最高速度は185km/hにも達しました。
性能だけでなく信頼性の高かった為、マン島TTで10年以上もトップの座に
君臨し続け、1949、50年には世界選手権までをも制しました。
※この個体は、展示中に熊本地震で展示台から落下し、タンク、キャブスタンドが
変形してしまっています。出来れば補修された姿が見たいですね。