今夜のDVD:名探偵ポワロ「砂に書かれた三角形」パックス・イタリアーナの誇り! | 食事処 御来欧音おらいおーね(福岡県筑紫野市阿志岐1521‐1/ゼロ戦/鉄道模型/ガンプラ)
 
第二次世界大戦の足音が徐々に忍び寄ってくる1930年代・・・・ムッソリーニ率いる
イタリアはアビシニア(エチオピア)併合を企てる。
 
そんな時節、休暇の為にイタリア領ロードス島にやって来たポワロ。
ホテルで出会った若い英国女性パメラは、しつこく言い寄ってくるイタリア人男性
を撒く為に、ポワロに声をかけてきた。イタリア人男性はバーンズ少佐。
彼は休暇で魚釣りに来たと云うが、見るからに挙動は不審で、魚を釣っている
気配も見られない・・・・。
しかも、普段イギリスで生活するポワロは、がさつなホテルのメイド、要領の悪い
イタリア税関の職員といったイタリア人たちに苛立ちを募らせる。
そして、事件が!島に来た二組の英国人男女の間で痴話喧嘩が起こり、それが
原因と思われる毒殺事件が発生する!
 
捜査を進めるポワロは、「容疑者であるダグラスのポケットに入っていた毒薬ビンを
ダグラス自身に取り出させた」にもかかわらず、毒薬ビンに着いたダグラスの指紋を
根拠に逮捕したイタリア警察の警部と衝突。「冷血なイギリス人が太陽の下に情熱
に火が付いた(ので、殺人を犯した)」という警部の主張に、ポワロは「イタリアオペラ
の筋書き通り」と唾棄する。
しかし、イタリア軍の情報将校である件のバーンズ少佐のツテでポワロは毒薬と
真犯人を遂に突き止めることだ出来た。
 
ポワロの捜査の手を逃れ、ロードス島を脱出する真犯人たち。船で追うポワロと
バーンズ少佐。だが、やぶれかぶれの真犯人はダイナマイトを投げつけてきた。
あわや、というところで助けてくれたのは、ポワロと衝突した先のイタリア警察の
警部だった。
「ダイナマイトを捨てないと発砲する!撃てい!」警部が命じた強引な威嚇射撃に
ポワロは苦笑するが、結果的に真犯人を沈黙させることに成功する。
「イギリス人はどうかしている!何人殺せば気が済むんだ!これ以上殺し合いを
したければ他所でやるがいい!この島から出ていけ!」
この言葉を聞いたポワロは、この警部もバーンズ少佐も、ポワロ同様に平和を
愛し、犯罪を憎み、自身の職務に忠実なのであって、島でポワロが感じたイタリア
人への嫌悪感は、単に国民性の違いに対してポワロ自身が違和感を感じたに
過ぎないことを悟るのでした・・・・。
事件後、好き友となったバーンズ少佐が風雲急を告げるアビシニアへと旅立つ
のを、「アビシニアはダチョウ狩りの季節ですか?」とポワロはおどけて送り出します。
 
第二次世界大戦の北アフリカ戦線などの記述を読むと、イタリア人・イタリア軍
に対する評価は極めて低い(失礼)ものです。「過去のローマ帝国の栄光を
忘れられず、無理矢理エチオピアやエジプトに攻め込んでイギリスの返り討ち
にあった」という手厳しい内容も多いですが、それは時の運というのもあって、
このお話の様に、犬猿の仲と思われるイギリス人(ポワロはベルギー人だけど)
を感嘆させる程の仕事ぶりを見せつける、というお話はとても素敵だと思います。