さて、前回の話ではグルー効果は揮発性による原因は一部であるといいました。
では主体となる原因は何なのか?
それを今回お話していきます。
なお、今回は少し化学の知識がないと理解できない部分がありますので難しいと感じた方は読み飛ばしてもらって結構です。目安としては高校化学程度の知識です。
それでは始めます。
基礎理論編2~膨潤によるアプローチ~
2か月ほど前に僕はかつてニッタクから発売されていた補助剤であるスピードアクセルを入手し、遊びの目的で使用しました。
やっぱり気持ちいいですね、はい。
スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン
こんなことを思ってしまいましたw(このネタがわかる人はある程度僕と年齢が近いと思います)
そんなことはさておき…
何か代用品を探すヒントになること書いてないかな…なんて思いながらスピードアクセルのパッケージを眺めてみました。
これがスピードアクセルのパッケージです。まあいろいろ書いてあるんですが…
成分:オイルといわれてもオイルだけじゃどんな物質なのか特定できませんし、かといって右下に書いてある第4類第三石油類というだけでは1気圧温度 20℃で液体であって、引火点が 70℃以上 200℃未満の液体ということしかわかりません。第四類第三石油類なんて探せばいくらでも出てきます。
しかし、よく見てみると用途:卓球用ラバー膨潤用と書かれています。
膨潤とはなにか?これが今回のテーマです。
~膨潤とは?~
卓球のラバーのスポンジの主成分は天然ゴムや合成ゴムです。実はラバーシートもスポンジも主成分はほぼ同じなわけです。天然ゴムは化学的にはポリイソプレンを指し、合成ゴムはいくつかあるのですが、卓球ラバーに使われる合成ゴムはイソプレンやブタジエンです。ゴムというのはイソプレンなどの分子が網目状にいくつもつながってできています。その網目状の隙間の部分に油などの相性の良い液体が入り込むことによってゴムが膨れあがり体積が大きくなります。別に油とゴム分子が結合してるわけではありません。この現象を膨潤というのです。
油が入り込んでるだけですから油が気化したりしてどこかに飛んで行ってしまえばゴムはもとに戻ります。(厳密には元通りになってるわけではない)これが時間がたったらグルー効果がなくなる理由です。
ラバーのスポンジ面を膨潤させることによってスポンジの体積を大きくし、それによってシート面が引っ張られてテンションがかかる…これがグルー効果の主な原因だった訳です。それに揮発性によるスポンジ内気泡の気圧増加も相まって生み出されるのが一般的にグルー効果と呼ばれる現象なのです。
ではここで疑問が起こります。同じゴムなのになぜシートは膨潤しないのか?普通に考えればスポンジ面にしみ込んだ油はスポンジを通過しシート側に到達してシートを膨潤させてもおかしくないはずです。シートもスポンジと同じように膨潤してしまうとテンションはかからなくなるはずです。
結論から言うとシートも膨潤します。
http://shirotatsu.blog.jp/archives/4910721.html
こちらの記事を参照するとわかるのですが、シート面だけに油を塗るとシートが膨潤し体積が大きくなりスポンジ面を内側に反り返ってるのがわかります。しかしスポンジ面だけに油を塗ればシートを内側にして反り返ります。この原理は単位表面積当たりのゴムの量の差で説明できます。スポンジってシートに比べればスッカスカで単位表面積当たりではゴムの量は圧倒的に少ないです。単位ゴム質量当たりの油の量が多いとより膨潤するわけです。例えば、1グラムのゴムに対して油を1ミリリットルつけるよりも10ミリリットルつけたほうが膨潤する訳です。
ちなみに、単位体積当たりのゴムの量を多くすると硬いスポンジとなり、ゴムの量を少なくすると軟らかいスポンジとなります。これが軟らかいスポンジの方がグルー効果が大きい理由です。
結局シートよりもスポンジの方が膨潤して体積が大きくなるからシートを内側にして反り返り、テンションがかかってるわけです。
では、どんなものが補助剤の効果が高く、代用品となりえるのか?
探すべきものは「よりゴムを膨潤させやすい液体」を探せばよいのです。
先ほどゴムと相性がいい油がゴムの中に入り込むと書きました。ここで相性がいいとはゴムと混ざりやすい油という意味です。水と油は相性が悪く混ざりません。それはなぜか?極性が違うからです。
極性とは原子同士の結合の非共有電子対の偏りによって生まれます。この話を完全に理解するには電気陰性度の話から始めないといけないのですが今回は省略します。
詳しくはhttp://ameblo.jp/rx136z/entry-12268986411.html
こちらに書いておきました☆
ここで使いたかったためにこの記事を書いたのです。
一般的に水は水素結合もあるうえ電子的な偏りが大きい=極性が強い物質です。一方油は電子的な偏りがないあるいは小さい=極性がないあるいは小さいため、水と油は混ざりません。 極性の近いものがよく混ざり、遠いものは混ざらないということが一般的に知られています。ということはゴムの極性と近い液体を探せばグルー効果が高いということになります。
では極性はどうやって調べればいいのか?
この話は次回に回します。
それでは今日はこの辺で!

