前回まででグルー効果の基礎となる原理・理論を解説し、ある程度どんなものが補助剤の代用品となりえるのかを書きました。
さて、今回は実践・応用編ということで前回までの理論を踏まえたうえで代用品の研究に移ります。
とりあえずアニリン点のわかる身近な物質は限られており、そこら辺の油で条件に合った製品(物質)を探し、購入するのはなかなか難しいということを書きましたが、ならば発想を変えてみましょう。
探すのが難しい?
なら作ればいいじゃないか!
ハイ。TOKIO的発想です(笑)
条件に合った物質を時間をかけて探すよりはあえてこっちで条件に合う物質を作ってしまえばよいのではないか?とワタクシは考えたわけであります。
とりあえず理想の補助剤として以下のような特徴を持てばよいと僕は考えました。
1、アニリン点がなるべく低いものであること。できればアニリン点が60℃以下あるいはその付近。
2、揮発性があまり高くないこと。できれば蒸気圧が8.5×10^-7mmHg(20℃)以下が望ましい。
3、安全性がある程度確保されるもの。
4、手に入りやすいもの。
取り合えずこんなもんですかね。
1はなるべく膨潤しやすいものを手に入れるための条件です。アニリン点60℃以下としたのはゴムのりの主成分であるノルマルヘキサン(アニリン点59℃)と同等程度の膨潤となれば性能的には満足するレベルになるのではないかと考えたからです。
2はなるべく効果が長く続くために必要な条件です。僕としては2~5日程度効果が持続してくれればそれでいいかなと思ってます。
8.5×10^-7mmHgというのは前回ヤサカの補助剤の特許文で登場したアジピン酸ジオクチルの蒸気圧です。おそらくあの文に出ていた物質と同程度の蒸気圧ならばそれなりに効果が長く続くと考えたためこの数値設定にしました。3・4の条件はもはや説明の必要はないでしょう。
ではどうやって理想的物質を作るか。これが大問題でしたね。
結論から言いますと僕は上に大きく補助剤を作る!と書いた癖に作ることは難しいと判断し、作りませんでした。
方針としてはアマゾンなどで手に入りやすいノルマルヘキサンを用いて作ろうと考えたんですけどね…
ノルマルヘキサンにオリーブ油などの分子量が比較的求めやすい不揮発性の油を適量混合することでラウールの法則に則り蒸気圧降下を起こさせ適当な蒸気圧にしてしまえばよい…と単純な考え方なんですけど、問題はノルマルヘキサンのモル蒸気圧降下度を求める必要があることと、やはりノルマルヘキサンでもやや危険かな?と思いやめました。
結局のところこの方法もダメと判断し、さらなる代用品探しの方法を考えたのですがいい考えは見つかりませんでした。
前回のアニリン点のグラフを見てみると60℃付近にスピンドル油というのが書いてあります。スピンドル油というのは工業用の潤滑油の一種で、自転車用の油なんかもスピンドル油の一種です。こういうのならアマゾンで普通に売ってますから、そこら辺から探していくのが一番現実的な代用品探しとなりそうです。
本当ならいくつかのスピンドル油を僕が入手したうえで実験し、効果が最も高いものを発表できればよかったのですが、ちょっと僕の都合上なかなかしばらくできそうにないということで今回とりあえずここまで書くことにしたわけであります。
結論:代用品はホームセンターやアマゾンで売ってるスピンドル油から探せ!
とりあえず僕の研究と呼べるのかわからないスピードグルー・補助剤の代用品探しの話は終わりとさせていただきます。
一応グルー効果の原理を説明できたのでそれはよかったかな…?
それでは今日はこの辺で!